辻仁成、息子の“恋人ができた記念”で一緒に曲作り 「何事もやらせてみる」教育のこだわり明かす
2019年7月22日 20:42

[映画.com ニュース] 世界23カ国で翻訳されたベストセラーを俳優キウェテル・イジョフォー(「それでも夜は明ける」)がメガホンをとり映画化した「風をつかまえた少年」のトークイベントが7月22日、東京・渋谷のユーロライブで行われ、作家、ミュージシャン、映画監督など様々なジャンルで活躍する辻仁成氏が登壇した。感想を問われた辻氏は「文明のない場所で、学ぶことを知った少年が自分の力で自家発電の装置を作ることの大変さ、人間の限りないひたむきさが描かれています。今日、吉本(興業)さんの会見も見ていたので、この映画で心洗われた感じがしました」とホットな話題をからめ、会場の笑いを誘った。
物語の舞台は、2001年に大きな干ばつが襲ったアフリカの最貧国マラウイ。少年ウィリアム・カムクワンバ(マックスウェル・シンバ)は、飢饉による貧困のため通学を断念する。ある日、図書館で出合った1冊の本を参考に、廃品を利用した風力発電を作り上げることを思いつく。科学よりも呪術を信じる村の人々や自分の話に耳を貸さない父(イジョフォー)に反対されるなか、ウィリアムは独学で風車を作り、村の貧困を救うべく奔走する。

息子を信じて未来を託そうとする父の姿を通し、親子の絆をあたたかく描く本作。15歳の息子と仏パリで暮らしている辻氏は、息子を“皮肉屋”と呼びながらも、手に握りしめた携帯電話を示し「僕が携帯を放さないのは、いつ息子から電話が来るか分からないんで」と親バカな一面をのぞかせる。そして、「彼も友達と映画を撮りたいといっていて、僕の福岡の撮影現場にも来て、エキストラの整理をやってくれました」「息子に恋人ができた記念に『一緒に曲を作ろう』と言って。彼が作った曲は、悔しいけど愛に向かうエネルギーに満ちた良い曲。僕も歌ってみたんですけど、僕がどんなに逆立ちしても作れないものを作ってくるんですよ」と数々のエピソードを、嬉しそうに語る。「何事にも反対せず、やらせてみる」という姿勢を大切にしているそうで、「(息子は僕と)衝突しないで、飛び越えていく。全然相手にされない(笑)」と笑顔を浮かべた。
そんな教育方針は、自身の母親から影響を受けたという。「母親は『こう生きなさい』という哲学的なことをよく言っている人でした。僕がいろいろといたずらしても、母に怒られなかった。『ユーモアで人を感動させることができる何かがお前にはあるから』と言ってくれた。僕が詩を書き始めたら、母親が初めて誉めてくれて嬉しかった」と振り返り、「だから、僕も息子に怒らない。息子も作品を見せてくれます。10月にライブがあるので、息子にも出てもらって一緒に何かできたらな」と、ステージでの親子共演に期待をにじませた。
「風をつかまえた少年」は、8月2日から東京のヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国で公開。
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