斎藤工×永野×金子ノブアキ×清水康彦×SWAY「チーム万力」が仕掛けた映画ハラスメント
2019年7月4日 10:00
[映画.com ニュース] 5つの強烈な個性と独特の感性が交わると、化学反応どころか臨界点を突破してしまうほどの爆発力を生む。俳優の斎藤工、お笑い芸人の永野、ミュージシャンの金子ノブアキ、映像作家の清水康彦、そしてラップグループ「DOBERMAN INFINITY」のSWAYが加わった映像プロジェクト集団「チーム万力」。彼らが永野の脳内イメージの発露に挑んだのが、11月29日に公開される映画「MANRIKI」だ。
時は、永野がゲスト出演した2016年の東京ガールズコレクションにさかのぼる。打ち上げの席で所在なげにしていたところ、別の打ち合わせで会場に来ていた斎藤から電話が入った。
永野「(モデルは)小顔の人たちばかり。それなのに舞台裏に小顔プリクラが用意されていたり、小顔マッサージの話をしている。だったら極端な話、万力で顔をつぶしたらあいつらは喜ぶんじゃないかと飲みながら話していたんです。それだけの話と思っていたら、翌日、工くんから『その映画、どうしますか?』って。動くんかいって感じ」
斎藤「実際に万力でつぶされた、物理的には小顔の人が街をたくさん歩いていたらヤバい、見てみたいという画(え)が浮かんだんです。永野さんの話からあふれ出る情熱が始まりです」
斎藤はもともと永野のファン。ライブで数多くのネタを見た上での分析と、生来の映画フリークの知識がしっかりと結びついた。
「ライブでのネタは表現が途轍もなく深いところにたどり着いていて、テレビでは氷山の一角がフィルターでこされている。その奥深さにずっと魅かれていて、僕もなぜこれが映像化できたんだといういろいろな映画を見てきた中で、永野さんの脳内を映像化したら特殊で、しかも日本で作られる意味を持ったものになる確証があったんです」
脚本、監督を依頼された清水も「ずっと尊敬する先輩」と永野をリスペクト。永野も普段から、浮かんだ膨大なアイデアをLINEなどで清水に送りネタの素案としている。
清水「永野さんはネタのひとつひとつで人間を描いている。描く人間像はしようもないところを切り取っていたとしても、僕には美しいぞと思えたんです」
そこから万力での小顔矯正を施術する美容クリニックの医師を軸に、美人局をする年の差カップルらを巻き込み、飛躍する三段論法で不条理と理不尽に美を掛け合わせ人間の尊厳にまで迫るシニカルなストーリーが完成。音楽は斎藤と隣町出身の同級生で、清水もミュージックビデオを手掛ける金子が請け負い、まずはエンディングのテーマ曲を手掛けた。
「現場が離陸しそうという段階で打ち合わせに呼ばれたので、着火しきらずに漂っている状態にフレッシュな気持ちで火種を投げ込んだようなもの。サントラも清水監督が編集室に入れてくれたので、隣でつけていけたから2週間くらいの作業が2時間で終わる。これだけ密に付き合っている人じゃないと絶対にできない」
そして、物語の後半のカギを握るカップルの男性として“巻き込まれた”のが、劇団EXILEとしても活躍するSWAY。共演経験のある斎藤の推薦だった。
SWAY「キャストをマネジャーさんに聞いて、なんてビッグな映画なんだと。大ヒットが保証された映画に自分も出るんだと思った」
斎藤「スペックの高さは分かっていたし、SWAYさんが入ってくれたことによって、このプロジェクトがアップライトの場所に浮上した」
こうして斎藤が「齊藤工」名義で企画・プロデュース、永野が原作・脚本(共同)、清水以外の4人が出演する座組で生まれた「MANRIKI」は、韓国・プチョン国際ファンタスティック映画祭でワールドプレミアが行われた。斎藤には公開後も含めた“ワールドツアー”の野望がある。
「東洋のひとつのアイデンティティ、クリエイティブに感化される可能性を秘めているのが永野さんだという思いは変わらない。それを正式に形にできるメンバーが集まってできた奇跡なので、本当に地球の裏側まで届けてみたい」
斎藤演じる主人公に自分を重ね合わせるシーンがあったというほど、永野も脳内が映像として具現化し相当な手応えを感じている。その自信は締めの言葉に表れていた。
「すげえ満足して、監督とやったーってハグしましたから。いたずらに非難するライターがいたら、ひっぱたくかもしれない。いかにこの映画がすごいか。それぞれに感じてほしいとよく言うけれど、本当のところは思わない。僕の思い通りに感じてほしい。それくらい本気です。もう、映画ハラスメントですよ」
関連ニュース
映画.com注目特集をチェック
コンコルディア Concordia NEW
“20年間、犯罪が起きていない町”で殺人事件が起きた――熱烈にオススメしたい社会派AIサスペンス
提供:hulu
十一人の賊軍
【本音レビュー】嘘があふれる世界で、本作はただリアルを突きつける。偽物はいらない。本物を観ろ。
提供:東映
知らないと損!映画料金が500円になる“裏ワザ”
【仰天】「2000円は高い」という、あなただけに教えます…期間限定の最強キャンペーンに急いで!
提供:KDDI
グラディエーターII 英雄を呼ぶ声
【人生最高の映画は?】彼らは即答する、「グラディエーター」だと…最新作に「今年ベスト」究極の絶賛
提供:東和ピクチャーズ
ヴェノム ザ・ラストダンス
【最悪の最後、じゃなかった】最高の最終章だった…エグいくらい泣いた感動体験、必見!
提供:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
レッド・ワン
見たことも聞いたこともない物語! 私たちの「コレ観たかった」全部入り“新傑作”誕生か!?
提供:ワーナー・ブラザース映画
八犬伝
【90%の観客が「想像超えた面白さ」と回答】「ゴジラ-1.0」監督も心酔した“前代未聞”の渾身作
提供:キノフィルムズ
関連コンテンツをチェック
シネマ映画.comで今すぐ見る
ギリシャ・クレタ島のリゾート地を舞台に、10代の少女たちの友情や恋愛やセックスが絡み合う夏休みをいきいきと描いた青春ドラマ。 タラ、スカイ、エムの親友3人組は卒業旅行の締めくくりとして、パーティが盛んなクレタ島のリゾート地マリアへやって来る。3人の中で自分だけがバージンのタラはこの地で初体験を果たすべく焦りを募らせるが、スカイとエムはお節介な混乱を招いてばかり。バーやナイトクラブが立ち並ぶ雑踏を、酒に酔ってひとりさまようタラ。やがて彼女はホテルの隣室の青年たちと出会い、思い出に残る夏の日々への期待を抱くが……。 主人公タラ役に、ドラマ「ヴァンパイア・アカデミー」のミア・マッケンナ=ブルース。「SCRAPPER スクラッパー」などの作品で撮影監督として活躍してきたモリー・マニング・ウォーカーが長編初監督・脚本を手がけ、2023年・第76回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリをはじめ世界各地の映画祭で高く評価された。
「苦役列車」「まなみ100%」の脚本や「れいこいるか」などの監督作で知られるいまおかしんじ監督が、突然体が入れ替わってしまった男女を主人公に、セックスもジェンダーも超えた恋の形をユーモラスにつづった奇想天外なラブストーリー。 39歳の小説家・辺見たかしと24歳の美容師・横澤サトミは、街で衝突して一緒に階段から転げ落ちたことをきっかけに、体が入れ替わってしまう。お互いになりきってそれぞれの生活を送り始める2人だったが、たかしの妻・由莉奈には別の男の影があり、レズビアンのサトミは同棲中の真紀から男の恋人ができたことを理由に別れを告げられる。たかしとサトミはお互いの人生を好転させるため、周囲の人々を巻き込みながら奮闘を続けるが……。 小説家たかしを小出恵介、たかしと体が入れ替わってしまう美容師サトミをグラビアアイドルの風吹ケイ、たかしの妻・由莉奈を新藤まなみ、たかしとサトミを見守るゲイのバー店主を田中幸太朗が演じた。
文豪・谷崎潤一郎が同性愛や不倫に溺れる男女の破滅的な情愛を赤裸々につづった長編小説「卍」を、現代に舞台を置き換えて登場人物の性別を逆にするなど大胆なアレンジを加えて映画化。 画家になる夢を諦めきれず、サラリーマンを辞めて美術学校に通う園田。家庭では弁護士の妻・弥生が生計を支えていた。そんな中、園田は学校で見かけた美しい青年・光を目で追うようになり、デッサンのモデルとして自宅に招く。園田と光は自然に体を重ね、その後も逢瀬を繰り返していく。弥生からの誘いを断って光との情事に溺れる園田だったが、光には香織という婚約者がいることが発覚し……。 「クロガラス0」の中﨑絵梨奈が弥生役を体当たりで演じ、「ヘタな二人の恋の話」の鈴木志遠、「モダンかアナーキー」の門間航が共演。監督・脚本は「家政夫のミタゾノ」「孤独のグルメ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭。
奔放な美少女に翻弄される男の姿をつづった谷崎潤一郎の長編小説「痴人の愛」を、現代に舞台を置き換えて主人公ふたりの性別を逆転させるなど大胆なアレンジを加えて映画化。 教師のなおみは、捨て猫のように道端に座り込んでいた青年ゆずるを放っておくことができず、広い家に引っ越して一緒に暮らし始める。ゆずるとの間に体の関係はなく、なおみは彼の成長を見守るだけのはずだった。しかし、ゆずるの自由奔放な行動に振り回されるうちに、その蠱惑的な魅力の虜になっていき……。 2022年の映画「鍵」でも谷崎作品のヒロインを務めた桝田幸希が主人公なおみ、「ロストサマー」「ブルーイマジン」の林裕太がゆずるを演じ、「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」の碧木愛莉、「きのう生まれたわけじゃない」の守屋文雄が共演。「家政夫のミタゾノ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭が監督・脚本を担当。
死刑囚の告発をもとに、雑誌ジャーナリストが未解決の殺人事件を暴いていく過程をつづったベストセラーノンフィクション「凶悪 ある死刑囚の告発」(新潮45編集部編)を映画化。取材のため東京拘置所でヤクザの死刑囚・須藤と面会した雑誌ジャーナリストの藤井は、須藤が死刑判決を受けた事件のほかに、3つの殺人に関与しており、そのすべてに「先生」と呼ばれる首謀者がいるという告白を受ける。須藤は「先生」がのうのうと生きていることが許せず、藤井に「先生」の存在を記事にして世に暴くよう依頼。藤井が調査を進めると、やがて恐るべき凶悪事件の真相が明らかになっていく。ジャーナリストとしての使命感と狂気の間で揺れ動く藤井役を山田孝之、死刑囚・須藤をピエール瀧が演じ、「先生」役でリリー・フランキーが初の悪役に挑む。故・若松孝二監督に師事した白石和彌がメガホンをとった。
内容のあまりの過激さに世界各国で上映の際に多くのシーンがカット、ないしは上映そのものが禁止されるなど物議をかもしたセルビア製ゴアスリラー。元ポルノ男優のミロシュは、怪しげな大作ポルノ映画への出演を依頼され、高額なギャラにひかれて話を引き受ける。ある豪邸につれていかれ、そこに現れたビクミルと名乗る謎の男から「大金持ちのクライアントの嗜好を満たす芸術的なポルノ映画が撮りたい」と諭されたミロシュは、具体的な内容の説明も聞かぬうちに契約書にサインしてしまうが……。日本では2012年にノーカット版で劇場公開。2022年には4Kデジタルリマスター化&無修正の「4Kリマスター完全版」で公開。※本作品はHD画質での配信となります。予め、ご了承くださいませ。