黒沢清監督「こんなSF映画を見たことない」 クレール・ドゥニ監督新作「ハイ・ライフ」に驚き
2019年3月13日 15:00

[映画.com ニュース] クレール・ドゥニ監督が最新作「ハイ・ライフ」プロモーションのため14年ぶりに来日。3月12日、アンスティチュフランセ東京で黒沢清監督とトークを行った。
ドゥニ監督は、久々の来日と黒沢監督との再会を喜び、「黒沢さんの映画は彼にしか作れない、ポエジー、夢、そして不安が混ざった映画。いつも彼の作品に感動しています。カンヌ映画祭で、黒沢さんを見かけたとき、グルーピーのように追いかけて、『あなたの映画は素晴らしい』と言ったこともあります」と大ファンであることを明かした。
ロバート・パティンソン主演の映画は、地球で死刑宣告された囚人たちが、宇宙空間で人工的な生殖を試みる科学者の実験台になる物語。ドゥニ監督にとって初の英語劇だ。「英語で作ったのは、ハリウッドに行くためではありません。宇宙飛行士は英語やロシア語を話し、フランス語は話さないと思ったからです」と説明した。
黒沢監督は「最新作を見られて幸福。シンプルなのか、私が何一つわかっていないのか、なんと言っていいのかすぐに言葉が出ない映画。愛情、嫉妬、欲望をベースにし、精子と卵子が組み込まれていくことと、ごく自然に(宇宙船が)ブラックホールに入っていく。こんなSF映画を見たことがありません。クレール・ドゥニという才能がSFと出合うことによって、衝撃的で実験的で美しい作品になった」と独創的な新作を褒め称えた。
ドゥニ監督は、劇中の男女の登場人物たちの設定を解説するとともに、「アメリカの天文物理学者、ステファン・ホプキンス博士は、太陽系の端に到達するまでに人間の一生では時間が足りない。宇宙で生殖をする方法を考えなければならないと言っており、宇宙で子供を作る科学的な予測をいくつも行っています」と今作のテーマが、実際に研究されていることであると付け加えた。
また、黒沢監督はロバート・パティンソンが、修道士のように禁欲的な主人公を演じていることに触れ、「自分の映画は禁欲的で、特に海外で、欲望が良く分からないと言われることもある」とこぼす一場面も。ドゥニ監督は、古代ギリシャ、キリスト教、中世の騎士道など、純潔が重んじられ、禁欲が奨励された歴史的な例を挙げ、「残念に思ってはいけません。禁欲は素晴らしいです」とフォローした。
その後、話題は「愛」に移り、黒沢監督は最新作「旅のおわり、世界のはじまり」で「女性の主人公がたったひとりでウズベキスタンにいく物語。孤独の中で生きていく人の、唯一の心のよりどころとして使った」と話す。ドゥニ監督は今作撮影中に母親を亡くしたと明かし、「自分の中に愛がないとき人は孤独になります。愛はより人間的になるときのつながり。たとえひとりであっても愛は人生を生きる意味」と強調した。
「ハイ・ライフ」は、4月19日公開。「旅のおわり、世界のはじまり」は6月14日公開。
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