ゆうばり国際映画祭2019グランプリ・森田和樹監督、病を乗り越えて踏み出した“未来への1歩”
2019年3月10日 23:00

[映画.com ニュース] 「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2019」グランプリ&シネガーアワード(批評家賞)の2冠に輝いた「されど青春の端くれ」の森田和樹監督が3月10日、報道陣の取材に応じた。鳥取出身、30歳の森田監督が、自らを見舞った“苦難”のエピソードを交えながら、受賞の喜びを語った。
2016年に映画学校「ニューシネマワークショップ(NCW)」を卒業。実習作品「春を殺して」が全国多数の映画祭に入選&受賞を果たし、「戯言」「メーキング」といった作品を製作。現在は東京で暮らしており「2年前に病気になりまして、入院中に映画製作をやめようかなと思ったんです」と挫折を経験。「その後も治療が続き、自宅で療養している時、ずっと天井ばかりを見ていたんです。でも『このままじゃ駄目だ』という気持ちが芽生え、本作を作りました」と打ち明けた。撮影は昨年の1、2月――製作期間は12時間だ。
仲良し男子高校生3人組の日々を描いた本作は「病に倒れた経験とは全然関係なく、むしろ楽しい思い出の方が詰まっています。構想は治療中に思いつきました」と説明。コンペ部門審査委員長の白石和彌監督は、初の長編となった森田監督の意欲作について「何かを爆発させたいという思いが一番ストレートに出ていた」と評価するものの「どちらかというとマイナス面の方が大きかった。音も聞こえにくい。懸念したのは男性ウケはするものの、女性への共感が得られにくい点。ただ(審査員の)長谷直美さんも評価されていたので、それは決め手になりました。衝動が一番見えた――それがこの映画の強さかな」と語っていた。
さらに審査の過程について「『されど青春の端くれ』に関しては、最初に『これだよね』と。だからといって、他の作品よりも頭ひとつ飛びぬけている感じではない」と明かした白石監督。その言葉を受けて「ありがたいです。評価される作品を作り続けて、また見て頂けるように頑張りたいです」と胸中を吐露した森田監督は“衝動”が伝わったことが「一番嬉しい」と告白。「作りたいという気持ちが一番デカくて、スタッフがいなくなってひとりでカメラを回すこともありました。『作りたい』という気持ちだけでカメラを回した映画だった。『映画監督になる』というよりも、ただ純粋に映画が撮りたかったんです」と思いの丈を述べ「(今後は)青春スプラッターを撮りたい」と“未来への1歩”を力強く踏み出した。
白石監督は4日間の日程を終えて「色んな映画人、自主映画をやっている人々が目指すべき映画祭だということを肌感で感じました。僕も審査委員長という大役をいただきましたけど、基本は作り手。早く作りたいと思いました」と満足気。「映画祭は、映画祭に関わってる人が新たにすると言えばそうなるし、皆で盛り上げるということを頑張っていくしかない。僕ら作り手はちょっとでもその力になれたらという思いを持っています。僕らを上手いこと使い倒してください」と“ゆうばり”の今後に期待を寄せた。
なお、本日午後1時45分段階での来場者数は1万1699人。本映画祭プロデューサーの深津修一氏は「昨年からスクリーン数がひとつ減少し、上映日が1日削られた状況では良い形」と話し、冬の開催が最後となった点も動員へと繋がったと明かす。夏季に行われることになった次回の開催では「招待作品を充実させたい」「スクリーン数倍増」を目標とし「やれるのであれば、夏も冬も開催したい。年がら年中“映画”で色んなことをやっているという街にしたい。それが夢です」と前向きな姿勢をみせていた。
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