ゆうばり国際映画祭2019グランプリは森田和樹監督作「されど青春の端くれ」!
2019年3月10日 19:30
[映画.com ニュース] 「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2019」のクロージングセレモニーが3月10日、北海道・夕張市のゆうばりホテルシューパロで行われ、森田和樹監督がメガホンをとった「されど青春の端くれ」がファンタスティック・オフシアター・コンペティション部門のグランプリに輝いたことが発表された。
仲良し高校生3人組を中心とした青春映画。批評家が選ぶシネガーアワードを戴冠し、既に壇上にいた森田監督はグランプリ受賞を知らされるとあ然。挨拶をうながされるものの、言葉を失ってしまった。やがて、ステージにキャスト陣が駆けつけると落ち着きを取り戻し「2年前、実は難病になりまして……、映画をやめようとしていたんです。続けてよかったと思います」と告白。審査委員長の白石和彌監督は「描かれている内容、森田監督の衝動は、本当に胸に迫ってきた。ですが、映画自体は(候補作のなかでは)一番見づらい作品。それは今後、自主映画阿を作っていくなかでは、研究して、作品の質を高める必要がある」と講評を述べた。
総括としては「コンペに残った6本は特別な作品。僕が助監督出身だからでしょうけど、『フェイクプラスティックプラネット』『いつくしみふかき』は、助監督出身の方が自主映画を作って応募してきてくれているのは嬉しいこと。残念ながら受賞には至らなかったですが、作品作りはプロの仕事でした。『超擬態人間』も好きで、勢いのある作品。舞台挨拶で『世界に向けて』と仰っていましたが、何かしらの形で絶対にいける作品なんだろうなと思いました」と語った白石監督。そして「4日間、熱い時間をありがとうございました。僕自身も作品を作っている身なので、コンペの作品を見ながら、映画を作っていく活力をもらったような気がしています」と振り返っていた。
コンペ部門の審査員特別賞は、ムン・ シング監督による「赤い原罪」が獲得し、審査員の冨永昌敬監督が「今回はコンペで見たどの作品よりも『赤い原罪』に感動しました。韓国ではあまり良い評判が出なかったということが信じられません。何回も見られる作品ですし、日本で公開してくれたらいいのになと思っています。他の作品にも触れたいんですが、『赤い原罪』を見てからは本作のことだけしか考えられない。俳優さんも本当に素晴らしい」と激賞。北海道知事賞は、日活の社員でもある太田慶監督が手がけた「桃源郷的娘」が受賞した。
インターナショナル・ショートフィルム・コンペティション部門のグランプリは、中島悠作監督による「極東ゲバゲバ風雲録」の手に。賞状とトロフィーを受けとった中島監督は「精神的に追い込まれ、やけくそになって作ったら、結果的にここまで来ることができました。これからも肩の力を抜いて作っていけたらと思います」と喜びを露わにした。同部門の審査委員長を務めた久保直樹監督が「純粋に映画の完成度で選んでしまうと、日本人がひとりも入らない可能性があった。ですが短編部門ということで、技術的な面ではなく『とにかく何かを表現しなければならない』というパッションを重視しました」と説明し、審査員の沖田修一監督は「どうしても『悪魔の舞を手に入れし者』(伊藤智之監督)にスペシャルメンションを与えたいので、皆さん拍手をお願いします」と提案していた。
グランプリ:「されど青春の端くれ」(森田和樹監督)
審査員特別賞:「赤い原罪」(ムン・ シング監督)
北海道知事賞:「桃源郷的娘」(太田慶監督)
シネガーアワード(批評家賞):「されど青春の端くれ」(森田和樹監督)
グランプリ:「極東ゲバゲバ風雲録」(中島悠作監督)
優秀芸術賞:「5つ目の記憶」(小野寺しん監督)、「Moon Drops」(ヨーラム・エバー・ハダニ監督)、「M&A」(宮城伸子監督)
作品賞:「いつくしみふかき」(大山晃一郎監督)
人物賞:安井謙太郎(「ニート・ニート・ニート」)
市民賞:特集上映「第1回ゆうばり自主怪獣映画まつり」
イベント賞:ストーブパーティ(斎藤工トークセッション)