【第91回アカデミー賞】「ボヘミアン・ラプソディ」に感動的な瞬間
2019年2月25日 14:16

[映画.com ニュース]第91回アカデミー賞授賞式が2月24日(現地時間)、米ロサンゼルスのドルビーシアターで開催。ロックバンド「クイーン」を題材に描いた映画「ボヘミアン・ラプソディ」は5部門にノミネートされており、どのような評価が下るかに注目が集まっていた。授賞式は「クイーン+アダム・ランバート」による生演奏でスタートし、世界最高峰の式典に臨む豪華ゲストらを祝福した。
幕開けの楽曲は「We Will Rock You」。ボーカルを務めるアダム・ランバートがスモーク立ち上るステージでパワフルに歌い、ブライアン・メイの歪みが効いたギターリフ、ロジャー・テイラーの重厚なドラムが響き渡る。客席のゲストたちも、「ドンドンパッ」と手拍子と足踏みを送り大盛り上がりだ。メイが拳を突き上げて張り裂けそうな声で叫ぶと、それに応えるように客席のあちこちから拳が突き上がる。間奏のあいだ、ランバートはドラムを叩きまくるテイラーの正面に回り、向き合って鼓舞しあっていた。
そしてライブは、流れるように「We Are The Champions」へ。はやる鼓動を抑えきれず、大舞台に立っている喜びを噛みしめるような、ランバートのビブラートと笑顔が印象的だ。ランバートとメイが背中を合わせてセッションすれば、会場のテンションは最高潮に達した。天井から滝のような火花が降り注ぎ、故フレディ・マーキュリーの映像が背後のスクリーンいっぱいに映し出されると、客席は総立ち。その光景に、「ボヘミアン・ラプソディ」主演のラミ・マレックらキャスト・スタッフ陣も、万感の思いがこもった大興奮の声援を送っていた。
授賞式前のレッドカーペットには、マレックが共演のルーシー・ボーイントンとともに登場。劇中と同じく恋人である2人は、ほほ笑みを浮かべながら無数のフラッシュを浴びるなど、幸福なひとときを過ごした。さらにグウィリム・リー、ベン・ハーディ、ジョセフ・マッゼロ、アレン・リーチの“ボラプ・ボーイズ”が、カーペット横のサウンドバイツでインタビューに応じていた。
「ボヘミアン・ラプソディ」は5部門にノミネートされ、うち音響編集賞、録音賞、編集賞、主演男優賞を獲得。ステージ上で音響編集のジョン・ウォーハースト&ニーナ・ハートストーン、録音のポール・マッセイ&ティム・カバジン&ジョン・カサリ、編集のジョン・オットマンがスピーチし、出演のマイク・マイヤーズ(「ウェインズ・ワールド」のダナ・カービとともに)が作品賞候補を紹介するプレゼンターとして登壇した。
そして主演男優賞発表の瞬間、受賞したマレックはボーイントンにキスし、ボーイントンはマレックのあごを愛おしそうに撫でた。後方の座席にいるメイ&テイラーを指差した後、ステージに歩を進めたマレックは、「信じられない」といった様子で喜びを語る。両親への感謝を述べ、自身が移民の子であることを強調しながら、多様性についてのメッセージを発信した。
「もし子どものころの僕に、将来こんなことが起こるんだよと教えたら、クリクリの髪で目を見開いて驚くことでしょう。苦戦して、自分の声を見出そうとしている人たち、ゲイで、移民で、人生を自分らしく生きた人の映画になっていると思います。この物語を、今日皆さんと一緒に祝えることは、まさにこのような物語が求められていることの証だと思います。私はエジプトからの移民の子で、エジプト系アメリカ人です。今作は、これ以上共感できないほど、僕自身の物語の一部です。それを非常に光栄に思います。僕を信じてくれたすべての人にお礼を言いたいです。この瞬間を一生大切にしていきます。(メアリー・オースティン役の)ルーシー・ボーイントン、あなたはこの映画の真心でした。そして僕の心を奪いました」。
構想から製作まで9年を費やし、キャスティングの難航や撮影中の監督解雇など、波乱の末に完成した今作。「最も予想が難しい」と言われるほど大混戦となった今回のアカデミー賞で、最多4冠を達成するという、感動的な幕切れが待っていた。
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