戸田恵梨香、くしゃみの瞬間に体をひねり「年だなって(笑)」
2019年2月19日 17:25
[映画.com ニュース]第2次大戦中にあった“疎開保育園”の実話を映画化した「あの日のオルガン」のイベントが2月19日、東京・練馬区の日本大学藝術学部江古田キャンパスで行われ、ダブル主演の戸田恵梨香と大原櫻子、メガホンをとった平松恵美子監督が出席。学生約150人とのティーチインに臨んだ。
第2次大戦末期、東京都品川区戸越の保母たちが幼い園児たちと集団で疎開し、東京大空襲の戦火を逃れた疎開保育園の実話を映画化。この日のイベントは「未来の保育士試写」と銘打たれており、約100人の東京福祉大学の保育児童学部生、約50人の日藝映画学科生が今作を鑑賞した。日藝映画学科卒の大原は「去年、ここでずっと授業を受けていたので、この光景が……(笑)」と挨拶し、平松監督も「去年、ここで大原さんの卒業製作を拝見しました。懐かしいです」と話した。
実在の保母を演じた戸田は、学生からの「実際に保育園で実習したと聞きました。保育学生にメッセージを」というリクエストを受け、「今朝、くしゃみをしたところ……」と切り出す。「体をひねってしまい、『年だな』って感じた(笑)。体を痛めている時に保育士の仕事をしている人々は、どうしているんだろうと、ここに向かっている最中すごく思った」と明かし、「保育士は、とにかく体力がいる仕事。子どもたちの命を預かるという面でも、責任と負担がある。本当に大変。今、保育士が不足してきていて、難しい現実があると耳にしました。1人でも多くの保育士さんが増えることを願っていますし、楽しみながら、生きがいを抱きながら励んでいってほしいと思っています」と願いを込めた。
さらに戸田は、撮影中の子どもたちとのエピソードを語る。「ある子どもが、『何で戦争なんてやるの? しなかったらいいのに』と、すごく純粋な目で聞いてきたんです」といい、「それにハッとさせられた。この子たちの未来を、私たちがつないでいかなければ、という責任があると実感させられました」と胸に深く響いた様子。当時6歳で経験した阪神淡路大震災にも言及し、「近所のおじちゃん、おばちゃんが亡くなったし、街が突然なくなってしまった。日常は当たり前ではありません。その時、死というものを初めて目の当たりにしたにも関わらず、その恐怖がいまいちわからなかった。時間が経つなか、いろんなことを理解し、大人になったからこその考えを抱きながら、この作品に臨みました。子どもたちも、大人も、命をつないでいくことがどれだけ大事なのか。それを痛感しました」と思いの丈を述べていた。
そして大原も、「役をやっていて思ったのは、子どもたちを守るというより、同じ目線で一緒に楽しむことが、子どもたちを幸せにできると思った。そうしたら、こっちまで幸せになっていったんです」と得た学びを明かす。平松監督は、「今、子どもたちがとても過酷な環境に置かれている。虐待や、命が軽んじられているからです。原作本は1982年出版ですが、(今も通じる)メッセージがある。この作品を見て、友だちやみんなと話し、メッセージを掘り起こしてほしい」と強く訴えていた。
「あの日のオルガン」は、2月22日から東京・新宿ピカデリーほか全国で公開。
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