ベルリン映画祭、チャン・イーモウの新作含む中国映画2本が上映取りやめに

2019年2月15日 13:00


チャン・イーモウ監督(2015年の来日時に撮影)
チャン・イーモウ監督(2015年の来日時に撮影)

[映画.com ニュース] 2月7日に開幕したベルリン国際映画祭で、コンペティション部門の後半に上映が予定されていたチャン・イーモウの新作「One Second」が、突如キャンセルになり波紋が広がっている。映画祭側の公式の理由は、「ポストプロダクションの技術的問題による遅れ」というアバウトなものだが、このタイミングにおける取りやめとあって説得力に欠け、「中国政府の検閲によるのではないか」という噂が飛び交った。公式カタログに掲載された解説によると、文化大革命の時代に収容所から脱走した囚人と親のいない少女の物語とか。

さらに今年はもう1本、中国映画が映画祭直前にキャンセルされた。「ジェネレーション14プラス」に入っていたデレク・ウォン=チュン・ツァンの「Better Days」という作品で、こちらも公式の理由は、ポストプロダクションの遅れ。もちろん、映画祭のセレクションは作品の完成を待たずに決まる場合もあるので、ありえないわけではないのだが、2本とも公式プログラムにもしっかり掲載されている。もしも政治的な理由に寄るものだとしたら、ベルリンだけに発表してほしいところだが、映画祭側からも今のところこれ以上の詳しい説明は得られない。

前半を過ぎた映画祭の評判は、モンゴルの砂漠にひとり逞しく生きる女性を描いた「ONDOG」、大学出のヒロインが仕事にありつけず、女性蔑視の困難な環境を生き抜くさまをユーモアも交えて描いたマケドニア映画「God Exists, Her Name is Petrunya」がもっとも評価が高い。続いてフランソワ・オゾンが未成年のセクシャル・ハラスメントで訴えられた神父の実話を取り上げた「By the Grace of God」も、高評価を得ている。オゾン自身、「『スポットライト 世紀のスクープ』のフランス版と呼んでもらって構わないよ」と語る通り、彼にとって初の社会派映画と呼べる、骨太な作りである。

果たして今年の審査員メンバーはどんな作品に票を入れるのか。結果は2月16日の授賞式で発表される。(佐藤久理子)

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