無名の自主映画、新宿ピカデリー上映実現は“バーフバリ旋風”の影響があった!
2019年2月14日 10:00

[映画.com ニュース]新進の30代俳優・佐藤秋と山口遥が、自ら監督&脚本&主演を兼ねた映画「足りない二人」の東京・新宿ピカデリーでの上映(2月21日)という夢を叶えようとしている。2014年6月から始まった2人の歩みの転機となったのは“1通のメール”――彼らの思いを受けとめ、今回の上映へと導いた「松竹マルチプレックスシアターズ」番組編成部・鷹取将生氏に話を聞いた。
本作の舞台となるのは、北海道・積丹郡美国町。共同で漫画作家をしている小山内(佐藤)と楓子(山口)が、行き詰まる日々を変えるべく、勝負の1本として自分たちをテーマにした作品に着手。「2人で描けば、絶対に面白いものになる」と未来に希望を抱く小山内に対して、30歳の誕生日を目前とする楓子は「2人でいるから、うまくいかない」と将来に不安を募らせていく様が描かれていく。
「俳優としての居場所づくり」として製作がスタートし、多くの困難を乗り越えて完成へと至った「足りない二人」。新宿を代表するシネマコンプレックス型映画館(新宿ピカデリー、TOHOシネマズ新宿、新宿バルト9)での上映という“映画ドリーム”を叶えるべく、佐藤と山口は18年2月18日に各劇場の運営元である松竹、東宝、東映に対して上映依頼のメールを送っていた。鷹取氏が2人に電話をかけたのは、同年3月1日のこと。「心が折れかけていた」という佐藤と山口にとっては、願ってもない吉報だった。
3月15日、直接の対面を果たした鷹取氏。現在の部署に所属する以前、新宿ピカデリーの支配人を務めていたようだが、さらにさかのぼると、意外な経歴が判明する。「実はそれ以前、札幌シネマフロンティアの支配人だったんです。個人的にも『北海道を舞台にした映画なんだ』と思い入れが生まれ、2人が来ていただいた際には北海道の話で盛り上がったんです」と告白しつつ、決め手のひとつとなったのは「(2人の)映画館で映画を上映することに対しての熱い思い。映画館の運営に携わる者としては嬉しかった」と振り返った。

「作品の鑑賞は2人に会ったばかりの頃だったので、(内容と)リンクしたんですよね。有名な俳優は出ていないですし、予算もあまり潤沢ではない作品なんですが“ヒリヒリ”しました。2人の空気感、生活が上手くいかなくなっていく展開――映画として面白かった」と感じたようだが、佐藤と山口には「新宿ピカデリーの通常の興行では厳しい」と率直な感想を伝えていた。そして「(同館の上映作としては)異色の作品。ただできることなら、多くの方に見てほしい。色々な思いもお聞きしましたし、劇場としては“チャレンジ”をしてみたかった」と明かし、1日限定のイベント上映という形式を提案した。
わずか1日の上映ではあるが、鷹取氏はある過去の事例を例に挙げ、本作が話題を呼ぶ可能性を示す。「『バーフバリ 伝説誕生』は、新宿ピカデリーとなんばパークスシネマ(大阪)の全国2館スタート。しかも期間は1週間、1日1回の上映でした。両館ともに、7回の上映がほぼ売り切れ。そこから拡大していった。狙ってやるのは難しいことなんですが、そういう実績もあるので、“小さく”スタートしていきませんかと考えたんです」と“バーフバリ旋風”の後押しがあったことを告白。そして“1日限定上映”の実例を明かしてくれた。
鷹取氏「過去に『足りない二人』と全く同じ流れでの上映はなかったのですが、ありがたいことに、新宿ピカデリーの『スクリーン1』(580席:プラチナシート&ルームを除く)に思い入れを持ってくださる方がいらっしゃいましたね。都内の単館で興行を行い、非常に評判が良く、上映が終わった後『もう1度関係者を集めるから、スクリーン1でイベントをやらせてくれないか』と。例えば『ケンとカズ』『いぬむこいり』ですね。そういうチャレンジを提案してくれるのは、こちらとしても嬉しいので『やってしまいましょうか!』となりました」

今後「足りない二人」に訪れた“奇跡”が、他のインディーズ映画に訪れる可能性はあるのだろうか。「以前に比べると、デジタル化によって“映画館で上映をする”というハードルは下がっています。例えばゲームのイベント、ライブビューイングも増えてきているので、色々なことができる状況にはなってきている」と語る鷹取氏。今回は問い合わせフォームからの依頼という異例の手法がとられたが、もし上映を望むならば「劇場に直接聞くのもありかもしれませんね。映画館を運営している会社は、必ず上映作品を決める“部署”か“人”がいます。そこへ直接聞くのが早いと思います」と活路はひらかれているようだ。
ただし、きちんとリスクを認識しておかなければならない。「1日限定上映だったとしても、通常の映画を上映するのと同じくらいの労力がかかります。作品の登録、チケットの販売――期間は異なりますが、同じ手間がかかるので、ダメだった時は辛い(笑)。(舞台挨拶付きなどの)イベント上映の場合、前後の準備、PAエンジニアを入れたりと人手も増えますから」
「足りない二人」の場合、チケットの先行抽選販売数に応じて、キャパシティが拡大していく特殊な上映スクリーンの決定方法がとられた。惜しくも「スクリーン1」とはならなかったが、上映の場として選ばれたのは、287席の「スクリーン3」。舞台挨拶が行われるスクリーンとしては、同館2番目の大きさだ。「本当は『スクリーン1』で上映したかったんですけどね。あの2人だったら、きっと楽しい上映にしてくれたはず」と語っていた鷹取氏は、最後にある願いを吐露した。
鷹取氏「ひょっとすると“次”があるかもしれませんよね。SNSで盛り上がり『じゃあ、もう1回上映しよう!』という流れにまでいければいいなと思っています。それに、この作品を見たことがきっかけで『こういう上映の仕方もできるんだ!』と知っていただきたい。このような興行が広がるきっかけになってほしいですね」
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