「春なれや」の吉行和子「若い人との仕事はサプリメント!」
2018年12月9日 19:00

[映画.com ニュース] 若手監督作品を応援し、監督と俳優の交流の場を目指す上映会「東京シネマサロン VOL.1」が12月9日、東京・文京区の文化シヤッターBXホールで行われた。昨年9月にユーロスペースのレイトショー動員記録を作った外山文治短編作品集「此の岸のこと」「春なれや」「わさび」の3本が上映され、「春なれや」の主演・吉行和子、外山監督らがトークショーに立った。
「東京シネマサロン」は“映画を語る、映画を学ぶ、映画を楽しむ”をコンセプトに、「さぬき映画祭」ディレクターである本広克行監督がホストを務めるイベント。「春なれや」は熊本県菊池市を舞台に、“ソメイヨシノは60年以上、咲くことが出来ない”という話の真偽を確かめるため、若き日に学校の庭に植えたソメイヨシノを見に行こうとする老女(吉行)と案内役の若者 (村上虹郎)の物語だ。
主演映画「燦燦 さんさん」に続き、外山監督の「春なれや」に主演した吉行は「(前作は)77歳で婚活するという元気のいい話だったので、こんなチャンスはないと思ってやりました。監督から『次もやりましょう』と言われましたが、こういう話は実現しないものなんです。でも、また呼んでくれた。正直者でいいなと思いました」と語り、笑わせた。
「春なれや」は外山監督が俳優の出演交渉から宣伝配給まで行ったインディーズ作品だが、吉行も舞台制作に関わったこともあり、親しみを感じたという。「一緒に作っている感じがしましたね。どういう形で映画ができるかは関係ないです。本が面白ければ、出ちゃう。若い人と会うと、2、3歳若くなるので、サプリメントなんです。(村上)虹郎くんとは初めてでしたけども、すごく素敵でした」と笑みを浮かべた。
1954年、高校卒業後に劇団民藝の研究所入りし、女優歴64年。「こんなに長く女優をやるとは思ってもみなかった。中3の時は将来の希望はなかったんです。周りがだんだん夢を語り出した時に、自分はどうしたらいいんだろうと思っていました。そんな時に民藝の芝居を見て、面白いと思ったんです。我ながら、いい職業を選んだと思います。15年間、劇団で勉強して、そのうち映画に出るようになった」と振り返った。
女優を続ける秘訣については「年を取ると、オファーがなくなるのは確か。でも舞台を作ってきたおかげで、自分が作りたいものを作れました。どこからもお話がなかったら、自分でやればいい。お仕事のエネルギーを消さないようにしないにしていました」と話すと、「亜人」でともに仕事をした本広監督は「見習わないといけないなあ。年を取ると、ルーティンワークに逃げてしまう」と反省しきりだった。
外山監督の演出については「すごくフランクでした。私を恐れず、いろいろ言ってくれた。遠慮されると、こっちが窮屈なんですよ。外山さんはこの調子で行っていただければ」とエール。会場からは「吉行さんから見た素敵な男性は?」との質問にも答え、「まず年齢は関係ないです。その人が正直だなと思った時にグッと来ますね。自分の生き方を通している人がかっこいい。若い子たちは失敗してもいいので、元気でいてほしい」とゲキを飛ばしていた。
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