没入感を意識した狂気の闇試合! タイの“地獄”を舞台に描く「暁に祈れ」本編映像
2018年11月28日 12:00
[映画.com ニュース] 2017年の第70回カンヌ国際映画祭ミッドナイト・スクリーニング部門で上映され、大きな反響を呼んだ「暁に祈れ」の本編オープニングシーン映像がお披露目された。映し出されるのは、本日11月28日に30歳の誕生日を迎えた主演ジョー・コールの気迫に満ちた姿。アクションと芝居を高いクオリティでこなす“ポスト・トム・ハーディ”が全身全霊の熱演を見せ、狂気と詩的さの両立という唯一無二の世界観を感じることができる。
タイに実在する“地獄”と呼ばれた最悪の刑務所に服役し、ムエタイでのし上がっていったイギリス人ボクサー、ビリー・ムーアの自伝ベストセラー小説を映画化。再起をかけてタイに渡るも、自堕落な生活を過ごすうちに麻薬中毒者になってしまったビリー(コール)は、警察の家宅捜索後に逮捕され、同国で最も悪名高い刑務所に収容される。そこは殺人、レイプ、汚職が横行する、この世の終わりともいえる場所。死と隣り合わせの状況に置かれたビリーは、習得したムエタイを武器に、地獄の刑務所を生き抜いていく。
約3分半の映像は、刑務所に収監される前のビリーが挑んだ闇試合の様子を活写し、“没入感”を強く感じられるテイストになっている。薬漬けの生活を送るビリーの瞳孔は不自然に開き、試合を止めようとするセコンドや審判に襲いかかるなど、自制の利かない凶暴な一面を露に。また、周囲の騒音が全く耳に入らず、自分の呼吸しか聞こえていない“彼自身”が感じているであろう描写がたびたび挿入され、拳や体がぶつかり合う生々しい音も印象的だ。
本作に登場する格闘シーンには、メガホンをとったジャン=ステファーヌ・ソベール監督の強いこだわりが反映されている。撮影時、コールを含めたキャストは実際に戦い、編集によって細かくカットが割られているのだ。「撮影で格闘シーンをカットしなかったら本当に格闘しなければならない。私は嘘モノにはしたくありませんでした」と語るソベール監督。こうした高い要求に応えるべく、コールはボクサーと同じように肉体改造を行い、ほぼ毎日が格闘シーンだったという30日間のタフな撮影に臨んでいた。
「ジョーには本当に感銘を受けました」と胸中を吐露しているソベール監督。「彼は私を信頼し、自分を本当にプッシュしてくれました。私がプロの俳優を起用する時は、自分が持っているものを全面的に演技に出してくれることを期待しますが、それは、試合に臨むボクサーも同じかもしれないですね」と最大級の賛辞を送っている。
「暁に祈れ」は、12月8日から東京・ヒューマントラストシネマ渋谷、ヒューマントラストシネマ有楽町。シネマート新宿ほか全国順次公開。
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