「ローズマリー」「サイコ」…「へレディタリー」監督が名作ホラーとの類似点語る
2018年11月28日 20:00
[映画.com ニュース] 「ムーンライト」「レディ・バード」などを手がけたスタジオ「A24」が製作したホラー映画「ヘレディタリー 継承」でメガホンをとったアリ・アスター監督が撮影を振り返り、ホラーのジャンルを選んだ理由やキャスティングについて語った。
本作は、家長である祖母の死をきっかけに、さまざまな恐怖に見舞われる一家を描いたホラー。主演のトニ・コレットは、インディペンデント映画の最高峰を競う「第28回ゴッサム・インディペンデント・フィルム・アワード」で女優賞を受賞し、アスター監督自身もブレイクスルー監督賞にノミネートした。
脚本も手がけた本作で長編デビューを果たしたアスター監督は「今回で10本目の脚本になるんだけれど、これまでの脚本は映画化を実現できなかったんだ。どうにか映画化を実現させたかったけれど、今まで資金調達に苦労してきたから、ホラーにしたら資金集めが簡単になるんじゃないかと思ったんだよ」と、ホラーに興味を持ったきっかけを明かす。
脚本執筆の際には、自身の家族に起こった不幸にも影響されたといい、「家族を失った不幸とトラウマについての映画を作りたかったんだ。不幸によって家族のきずなが強まるという映画が近年は大半を占めていて、それも嘘ではない。そのほかにも、不幸が起こり、そこから立ち直れない人たちがいるのも真実だ。僕は後者についての映画を作りたかったんだけれど、これをドラマにすると観客数が限られてしまう。ホラーにすることで、物語に悲惨さが加わるし、同時により多くの観客も得られる」と狙いを説明する。
キャスティングについても言及し、夫婦を演じたコレット、ガブリエル・バーンを称えてから「子どもたちの場合は、オーディションしたりテープを送ってもらったりして探した。2人とも実際に会って演技してもらったんだけれど、演技力に圧倒されたんだ。(ピーター役の)アレックス・ウルフのオーディションでの演技は、言葉では言い尽くせないほどすばらしかった。(チャーリー役の)ミリー・シャピロもすばらしい俳優で、16歳になったばかりだ。とても小柄で、映画の中ではさらにずっと若く見せた」と裏話を披露。
製作中に意識していたこととして「映画で言えば『ローズマリーの赤ちゃん』。それから『サイコ』についても多く考えていたんだ」とホラーの名作を挙げると、「この映画の開始30分で起こる事件は、『サイコ』のジャネット・リーにシャワールームで起こったことと似ているんだ。でも、あのシーンというのはいろんなジャンルの映画に活用されているんだ」と分析。本作で注目を浴びた自身の今後の予定については「現在プロダクションが進行しているのは、ジャンルとしてはホラー。ホラーは好きだけれど、その後はしばらくはホラーから離れようかな」と話していた。
「ヘレディタリー 継承」は11月30日から全国で公開。