米HBO、セックスシーンの撮影に専門コーディネーターを配置
2018年10月28日 10:00

[映画.com ニュース] 米有料チャンネルHBOが、今後同局が制作するすべての映像作品における性的なシーンの撮影に、「インティマシー・コーディネーター」と呼ばれる専門家が立ち会うことを決定した。セックスシーンを安全に撮影することを目的としている。米ローリングストーン誌が報じ、米HBOが公式Twitterで認めた。
インティマシー・コーディネーターは、俳優、監督、プロデューサー、撮影スタッフの仲介者の役目を果たし、俳優が性的なシーンで制作側との間に意見の相違を感じた際の代弁者となる。米HBOでは現在放送中のテレビシリーズ「DEUCE/ポルノストリート in NY」で初採用し、既にほかの番組にもスタッフが配置されている。
「DEUCE/ポルノストリート in NY」は、1970年代を舞台に、娼婦からポルノ映画製作者へ転じる女性を主人公にした物語。同番組では、インティマシー・コーディネーターを務めるアリシア・ロディス氏が脚本を確認し、俳優が撮影したり話したりする前に制作陣と議論を行っている。また、ロディス氏は、それぞれの俳優にとっての“安全と思える範囲”を把握し「話を進める前に、(俳優と制作側の双方が)確実に同意している」ことを確かめている。
この職種は、演劇界では長年にわたって存在していたが、映画やテレビの現場での採用は新しい試み。#MeToo運動などを受け、性犯罪や男女格差への関心が高まったことがエンタメ業界を動かしたと言える。しかし、米HBOに大きな動きをもたらしたのは、「DEUCE/ポルノストリート in NY」に新人娼婦ローリー役で出演する女優エミリー・ミードだ。
米ハリウッドレポーターによれば、スタントコーディネーターはどんなに小さなスタントの現場にも付き添うにも関わらず、セックスシーンではそのような体制が整っていないことを疑問に思ったミードが、米HBOの役員らに不快なセックスシーンを避けようとする俳優を放って置く文化を変えるよう直訴したという。これを受け、ショーランナーのデビッド・サイモンは9月、米ローリングストーン誌に「今後、インティマシー・コーディネーターなしで働くことは決してない」と語っている。
「DEUCE/ポルノストリート in NY」は、BS10スターチャンネルで毎週木曜午後11時ほか放送中。
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