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三田佳子、50歳時に“16歳”演じた 大ヒット作「遠き落日」で見せた女優魂

2018年10月11日 21:45

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三田佳子と奥山和由氏
三田佳子と奥山和由氏

[映画.com ニュース] 三田佳子が出演した伝記映画「遠き落日」(1992)が10月11日、開催中の京都国際映画祭2018で上映され、三田と製作総指揮を務めた奥山和由氏が、よしもと祇園花月での舞台挨拶に出席した。

世界的な細菌学の権威として知られる野口英世の一生を、母・シカとの関係を通して感動的に描く。奥山氏は「興行収入としては、今でいうと40数億円。私にとって最大のヒット作で、そのすべては三田さんの頑張りにあった」と最敬礼で、「三田さんは当時CM女王でしたし、お茶の間では『女優といえば三田佳子』だった」と懐かしそうに話した。

母・シカの壮絶な愛情を体現し、第16回日本アカデミー賞の最優秀主演女優賞に輝いた三田は、今作の魅力を「お母さんがいない人間はいない。子どもを愛する、そのことへの感動がすごいんです。無学な母・シカが、世界の博士を作った。素晴らしいことで、みなさんそこに感動してくださったと思います」と分析。製作当時の心境を「作品を愛する気持ちがどんどん高まっていった」と述懐し、作品のために身を粉にした日々に、思いを馳せた。

三田は1941年10月8日生まれ。今作が撮影された1991~92年には50歳前後だった。しかし劇中では、16歳から死去するまでのシカを通して演じたため、「オファーには驚きました。16歳という役には、危険な年齢でした(笑)。当時は異常にポッチャリしていて、シワひとつなかったものですから(まっとうできた)」と笑うと、奥山氏は「ノーメイクでしたよね。すっぴんも逃げ惑う様子も、もんぺ姿も結構似合っていたんですよ」と付け加えた。

さらに老齢のシカに扮する際には、特殊メイクを施し撮影に臨んだ。三田は「今では普通ですが、当時はね。ゴムなので皮膚感がなく、流れる涙が嘘に見えてしまったものですから、2度、3度とやり直させてもらいました」と切り出し、「剥がすのに2~3時間、またつくるのに4時間。でもワンシーンで終わり。役者としては、あの経験をさせてもらったことはありがたい」と感謝を示す。鍬(くわ)で畑を耕すシーンでは、神山征二郎監督から「無理だからやらなくてもいい」と言われたそうだが、「役者ですからやらせてください、と言いました。真冬にわらじが一番冷たくて、水のなかに飛び込むよりもつらかった」。奥山氏は「三田さんは『寒さで手が赤くなっていなければいけない』と、氷水に手を突っ込んで赤くなるまで待ち、それからスタートをかけるんです」と、リアリティを追求する女優魂に脱帽の様子だった。

実の母親からは「体が病気になるから、そんなことしなくてもいいのに」と叱られたが、「でも私は、やらなくてはいられなかった」。全身全霊をかけ、高い評価を得た作品なだけに、三田は「私がどこまで生きて、最後までやり続けるかわかりませんが、『遠き落日』で頑張った三田佳子を、ぜひ頭に残していただければと思います」と観客に呼びかけていた。京都国際映画祭2018は、10月14日まで開催。

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