「カメラを止めるな!」フランスで公開決定
2018年10月9日 14:00
[映画.com ニュース]9月末の時点で興行収入が21億円を超えたという、日本で怪物的(ゾンビ的?)ヒットを記録中の「カメラを止めるな!」が、ついにフランスでも公開されることが決まった。
本作は、今年4月にファンタ系映画の登竜門であるイタリアのウディネ・ファーイースト映画祭でワールドプレミアを迎え、その後スイスのヌーシャテル、カナダのファンタジア、スペインのシッチェスなど、世界中のファンタ系映画祭の殿堂を制覇するなか、フランスでも早くから業界人のあいだで話題に上っていた。映画塾の卒業制作で超インディなゾンビ映画、37分の長回し、日本での社会現象的なヒット、なによりすこぶる面白いらしい、という噂が、映画好きの耳目を集めたのである。
フランス語の題名は、原題直訳の「NE COUPEZ PAS!」。まずは10月15日から開催されるロワール地方のラ・ロッシュ・シュル・ヨーン国際映画祭でフランス・プレミアを迎え、その後12月にはパリで開催されるパリ・インターナショナル・ファンタスティック映画祭で上映、さらに1月にはパリの日本映画祭キノタヨで公開され、フランスでの劇場リリースを迎える。フランスの配給会社、LES FILMS DE TOKYOによれば、映画祭をまわって口コミを増やした後、全国規模で公開する予定だとか。仏版ポスターも日本と同様のものを使用し、「ゾンビチックなコメディ」と銘打っている。
もともとコンテンポラリーな日本映画のなかでも、ファンタ、ホラーなどのジャンル映画はフランスで人気が高い。監督でいえば三池崇史や中田秀夫、清水崇。黒沢清もどちらかといえばホラーの巨匠という捉えられ方をしている。日本のホラーは海外のそれとはまったく異なるセンスと世界観、ねっとりとした怖さがあり、それが人気の秘密でもあるのだ。
上田慎一郎監督の本作は、外国生まれのゾンビ映画というカテゴリーを日本の風景のなかに適用したこと、なおかつゾンビ映画を撮る撮影隊が本物のゾンビに襲われるという、映画好きを刺激する内容も注目を浴びている。
果たしてフランスの観客にどんな受け入れられ方をするのか、今から期待が高まる。(佐藤久理子)