岩田剛典×杉咲花、互いの芝居に惹かれ合った「パーフェクトワールド」
2018年10月7日 15:30
[映画.com ニュース] 1+1が2ではなく、3にも4にも10にもなる。この世は不完全だからこそ、愛する人が必要だ――。そんな恋愛模様が描かれるのが、岩田剛典(EXILE/三代目J Soul Brothers)、杉咲花が共演する映画「パーフェクトワールド 君といる奇跡」である。世間の偏見の目にぶつかりながらも、それでも寄り添うように生きていく樹とつぐみ。そんな2人の物語に岩田も「支え合って生きていくと決めた2人の覚悟は本当に強い愛情だと思いますし、こうありたいなと誰しもが思うし、きっと見た方は恋をしたくなると思います」と笑顔を見せる。(写真/間庭裕基)
「大切な人に読んで欲しいラブストーリーNo.1」として支持を集める、有賀リエ氏の人気コミックを実写化した本作。車いすに乗る生活を送っていた樹(岩田)と、そんな樹の優しさ、強さに惹かれ、彼を支えることを決意するつぐみ(杉咲)が、いくつもの試練を乗り越え、絆を深めていくさまを描き出す。岩田のトレードマークともいえるキラースマイルは本作でも健在だが、今回はその奥にある悲しみ、苦悩、焦燥感などがにじみ出てくるような演技を見せている。「あの笑顔は本当に素敵ですよね」と切り出した杉咲は、「猫を見つけて先輩(樹)が微笑むシーンがあるんですけど、そこではカメラマンさんもどんどんとカメラを近づけている気がしましたね」と笑いながら述懐する。
そんな岩田の印象について「ダンスをしている方というイメージがあって。もちろんそういう力強い男らしさはあるのですが、細かなところの気配りもあって。作品についても、役についても、カメラに映っていない時も、本番と同じ熱量で、集中力を切らさずにずっと先輩でい続けてくださいました。ものすごく助けていただきました」と振り返った杉咲。そして「とにかく優しくしてくださったんです。いろいろと話しかけてくださったから緊張も解けました」と付け加える。
本作はラブストーリーとしての側面はありながらも、障がい者をとりまく社会の現状も浮かび上がる物語となる。それゆえに岩田はほとんどのシーンで車いすでの芝居を行うこととなった。「やはり障がい者の方が見て違和感がないようにやるというのが最低条件かなと思いました。そこに関しては気を張ってやっていて、実際に監修してくださる方に『これで合っていますか?』と確認しながらやっていました」とこだわりを明かす岩田。「車いすに乗って演技をしていて、なんでこんなに首が痛いんだろうと思っていたんですが、そうか、ずっと座っているからなんだと思って。やはりそういうことはやってみないと分からないなと思いました。車いすに乗っている方って、日常生活を上半身で支えているんで、お会いすると皆さんガッチリしているんですよ。だから僕も首や肩まわりの筋量が必要だなと思いました」。
杉咲演じるつぐみは、絵が好きでインテリアコーディネーターとなった普通のOL。久しぶりに再会した高校時代の初恋の先輩が車いす生活を送っていたことに戸惑いを隠せないが、それでも先輩のまっすぐさに惹かれ、共に生きる決意をする。「最初は信じられないことで、目をそらしたいと思ったと思うんです。でもそれをちゃんと受け入れて、前に進んでいかないといけない。そんな苦しさを映画を見て感じました。何があってもあきらめずに、ただただ一途に先輩のことを思い続けるつぐみの強さ。すごい人だなと思いました。だからこそお互いが、足りないものを補っていくようになって。素敵な関係性だなと思います」という杉咲。「自分自身、前向きで、夢に向かって一生懸命な先輩の姿に力をもらいましたし、ちょっとしたことがうまくいかなくても、頑張ろうと思わせてもらいました」。
杉咲の代表作のひとつである「湯を沸かすほどの熱い愛」について、「2時間ずっと泣いているくらい感動して見ていたんです」と感想を述べる岩田。「だからすごい実力派の女優さんという印象があって。こういうラブストーリーをやる印象がなかったんです。でも作品中はずっとつぐみでいてくれて。現場にいる時も、いつもほがらかに会話ができたし、コミュニケーションをとることができた。でもお芝居になると、柔らかい花ちゃんの雰囲気と、シリアスになった時のキリッとしたギャップというか、凛としたまなざしと強さみたいなものが画面に出てくるんで、そのギャップはすごいなと思っていました」。
小学校の頃からの夢を叶え、建築設計事務所に勤める樹は、ある日、高熱を出して入院をしてしまう。それでも翌日までに提出しなければいけないプレゼンテーション資料をベッドの中で必死に仕上げる、というシーンが劇中にある。樹の痛々しい姿につぐみは「また次に頑張ればいいじゃないですか」と諭すが、樹は「次があるか分からないのに……今やらなきゃ駄目なんだ」と訴える。それをきっかけに2人の距離が近づいていくというエピソードだが、岩田はそこに深く共感するという。「こういうお仕事をしていると、毎回そうじゃないかなと思うんです。仕事に関しては手抜きができないというか……、するつもりもないですけど。いつでも全力投球でいかなきゃいけない。だからあのシーンにもすごく共感できるし、感情移入できました。そこに共感してもらえる人もきっと多いんじゃないかなと思います」。
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