インディーズ映画の若き女王・小川紗良が見据える“これから”
2018年10月4日 15:00
[映画.com ニュース] 女優で監督の小川紗良の躍進が止まらない。監督2作目となる「BEATOPIA」がコンピレーション映画「愛と、酒場と、音楽と」の1編として渋谷・ユーロスペースで公開中、さらに監督3作目となる短編「最期の星」は第40回ぴあフィルムフェスティバルのコンペティション「PFFアワード」に選出。また、女優としても日本テレビ系の深夜ドラマ「ブラックスキャンダル」に重要な役どころとしてレギュラー出演中だ。文筆業にも取り組み、水道橋博士からは「和製ジョディ・フォスター」と称された小川がいま何を思っているのか話を聞いた。
意志の強そうな黒目がちの瞳は一点を見据え、穏やかな口調で淀みなく話す小川は現役の早稲田大学生。「万引き家族」がカンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞した是枝裕和監督は同大の基幹理工学部表現工学科で教授を務めており、その元で学んでいる。
「是枝さんのゼミに入っているわけではないんです。1年生の頃に、大きな講堂で是枝さんが講演をされていて、その後に質問しに行ったんです。そうしたら、『映画を作るこういう授業もあるよ』と声をかけてくださいました。それからずっともぐり続け、3年生でやっと授業が取れました。もう4年間、お世話になっています」
是枝監督の薫陶を受けてきたのだから、多くの財産を得たことは想像に難くない。撮影現場を見学した際、是枝監督の姿が特に印象にあるといい「是枝さんって、撮影現場で起こることを一番大切にされるじゃないですか。そのあり方が凄く良いなと思いました。いつも現場の空気を大切にしているっておっしゃっています。そのことは、監督としても役者としても、大きく影響を受けています。立派な監督さんなのに、スタッフが全員横並びというか、みんなの力を吸い上げて作りたいって……、それって素敵ですし理想ですよね」と笑みを浮かべる。
演出する側とされる側、両方を知る小川だからこそ悩みは尽きない。どうやってバランスを取っているのか聞いてみると、「いまも模索中です。役者の視点と監督の視点って、同じ熱量であっても全然違うもの。私の場合、監督作を撮り終えた直後に役者のお仕事が入ったりすると、どうしても監督としての考えが強くなって、どうしても客観視してしまうことがありました。これからの私にとっての鍛錬ですね」と話す姿は、どこまでも瑞々しい。
また、ドラマ「ブラックスキャンダル」では、若手女優の小嶋夏恋に扮している。連ドラにレギュラー出演するのは、「地獄先生ぬ~べ~」以来4年ぶり2度目。それだけに現場で目の当たりにすることは貪欲に吸収しているようで、「映画とはスピードが思い切り違います。リハの回数も多いし、カット割も。ドラマにレギュラーで出るのは2度目なんですが、今回のようにしっかりとした役がいただけて、きちんと自分の立ち位置があって、セリフもある。それだけで嬉しい! 頑張ろう! という気持ちになれます」と強い意欲をうかがわせる。
そして、これからの1年間を更に実り多き日々にするために、見据える目標は大きい。
「女優として目指すのは、朝ドラです。一番やりたいことって、結局のところわたしは映画なんです。でも、私自身が朝ドラを見て育ってきましたし、田舎のおじいちゃんとおばあちゃんは毎日見ていますから。やっぱり特別なんですよね」
フォトギャラリー
関連ニュース
映画.com注目特集をチェック
関連コンテンツをチェック
シネマ映画.comで今すぐ見る
父親と2人で過ごした夏休みを、20年後、その時の父親と同じ年齢になった娘の視点からつづり、当時は知らなかった父親の新たな一面を見いだしていく姿を描いたヒューマンドラマ。 11歳の夏休み、思春期のソフィは、離れて暮らす31歳の父親カラムとともにトルコのひなびたリゾート地にやってきた。まぶしい太陽の下、カラムが入手したビデオカメラを互いに向け合い、2人は親密な時間を過ごす。20年後、当時のカラムと同じ年齢になったソフィは、その時に撮影した懐かしい映像を振り返り、大好きだった父との記憶をよみがえらてゆく。 テレビドラマ「ノーマル・ピープル」でブレイクしたポール・メスカルが愛情深くも繊細な父親カラムを演じ、第95回アカデミー主演男優賞にノミネート。ソフィ役はオーディションで選ばれた新人フランキー・コリオ。監督・脚本はこれが長編デビューとなる、スコットランド出身の新星シャーロット・ウェルズ。
「苦役列車」「まなみ100%」の脚本や「れいこいるか」などの監督作で知られるいまおかしんじ監督が、突然体が入れ替わってしまった男女を主人公に、セックスもジェンダーも超えた恋の形をユーモラスにつづった奇想天外なラブストーリー。 39歳の小説家・辺見たかしと24歳の美容師・横澤サトミは、街で衝突して一緒に階段から転げ落ちたことをきっかけに、体が入れ替わってしまう。お互いになりきってそれぞれの生活を送り始める2人だったが、たかしの妻・由莉奈には別の男の影があり、レズビアンのサトミは同棲中の真紀から男の恋人ができたことを理由に別れを告げられる。たかしとサトミはお互いの人生を好転させるため、周囲の人々を巻き込みながら奮闘を続けるが……。 小説家たかしを小出恵介、たかしと体が入れ替わってしまう美容師サトミをグラビアアイドルの風吹ケイ、たかしの妻・由莉奈を新藤まなみ、たかしとサトミを見守るゲイのバー店主を田中幸太朗が演じた。
ギリシャ・クレタ島のリゾート地を舞台に、10代の少女たちの友情や恋愛やセックスが絡み合う夏休みをいきいきと描いた青春ドラマ。 タラ、スカイ、エムの親友3人組は卒業旅行の締めくくりとして、パーティが盛んなクレタ島のリゾート地マリアへやって来る。3人の中で自分だけがバージンのタラはこの地で初体験を果たすべく焦りを募らせるが、スカイとエムはお節介な混乱を招いてばかり。バーやナイトクラブが立ち並ぶ雑踏を、酒に酔ってひとりさまようタラ。やがて彼女はホテルの隣室の青年たちと出会い、思い出に残る夏の日々への期待を抱くが……。 主人公タラ役に、ドラマ「ヴァンパイア・アカデミー」のミア・マッケンナ=ブルース。「SCRAPPER スクラッパー」などの作品で撮影監督として活躍してきたモリー・マニング・ウォーカーが長編初監督・脚本を手がけ、2023年・第76回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリをはじめ世界各地の映画祭で高く評価された。
文豪・谷崎潤一郎が同性愛や不倫に溺れる男女の破滅的な情愛を赤裸々につづった長編小説「卍」を、現代に舞台を置き換えて登場人物の性別を逆にするなど大胆なアレンジを加えて映画化。 画家になる夢を諦めきれず、サラリーマンを辞めて美術学校に通う園田。家庭では弁護士の妻・弥生が生計を支えていた。そんな中、園田は学校で見かけた美しい青年・光を目で追うようになり、デッサンのモデルとして自宅に招く。園田と光は自然に体を重ね、その後も逢瀬を繰り返していく。弥生からの誘いを断って光との情事に溺れる園田だったが、光には香織という婚約者がいることが発覚し……。 「クロガラス0」の中﨑絵梨奈が弥生役を体当たりで演じ、「ヘタな二人の恋の話」の鈴木志遠、「モダンかアナーキー」の門間航が共演。監督・脚本は「家政夫のミタゾノ」「孤独のグルメ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭。
奔放な美少女に翻弄される男の姿をつづった谷崎潤一郎の長編小説「痴人の愛」を、現代に舞台を置き換えて主人公ふたりの性別を逆転させるなど大胆なアレンジを加えて映画化。 教師のなおみは、捨て猫のように道端に座り込んでいた青年ゆずるを放っておくことができず、広い家に引っ越して一緒に暮らし始める。ゆずるとの間に体の関係はなく、なおみは彼の成長を見守るだけのはずだった。しかし、ゆずるの自由奔放な行動に振り回されるうちに、その蠱惑的な魅力の虜になっていき……。 2022年の映画「鍵」でも谷崎作品のヒロインを務めた桝田幸希が主人公なおみ、「ロストサマー」「ブルーイマジン」の林裕太がゆずるを演じ、「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」の碧木愛莉、「きのう生まれたわけじゃない」の守屋文雄が共演。「家政夫のミタゾノ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭が監督・脚本を担当。
内容のあまりの過激さに世界各国で上映の際に多くのシーンがカット、ないしは上映そのものが禁止されるなど物議をかもしたセルビア製ゴアスリラー。元ポルノ男優のミロシュは、怪しげな大作ポルノ映画への出演を依頼され、高額なギャラにひかれて話を引き受ける。ある豪邸につれていかれ、そこに現れたビクミルと名乗る謎の男から「大金持ちのクライアントの嗜好を満たす芸術的なポルノ映画が撮りたい」と諭されたミロシュは、具体的な内容の説明も聞かぬうちに契約書にサインしてしまうが……。日本では2012年にノーカット版で劇場公開。2022年には4Kデジタルリマスター化&無修正の「4Kリマスター完全版」で公開。※本作品はHD画質での配信となります。予め、ご了承くださいませ。