A・エルゴートの演技力を、スカヨハが絶賛! 「クリミナル・タウン」監督が明かす
2018年8月24日 13:10
[映画.com ニュース] 「ベイビー・ドライバー」のアンセル・エルゴートと「キック・アス」のクロエ・グレース・モレッツが共演したクライムサスペンス「クリミナル・タウン」と手がけたサーシャ・ガバシ監督が取材に応じ、“最旬”スターふたりの起用理由を語った。
米ワシントンD.C.に暮らす冴えない男子高校生アディソン(エルゴート)は、優等生だった親友ケヴィンが銃殺されながら、「不良の黒人少年がギャングの抗争に巻き込まれただけ」と早々に捜査が打ち切られたことに不信感を抱き、幼なじみのフィービー(モレッツ)とともに、独自に調査を開始する。やがて街全体が、事件の真相を握りつぶそうとしている疑惑が浮上する。
本作は「ベイビー・ドライバー」よりも先に撮影されており、エルゴートの起用については「きっと星のせいじゃない」(2014)で受けた強い印象が決め手だったという。「特にガソリンスタンドで涙を流し、気持ちを吐露するシーンを見て、ポテンシャルの高さを感じたんだ。どこか脆い童心さがあるというか。それでいて、とてもオープンで、実際に仕事をしてみると、すごくウマが合ったんだ」と回想するガバシ監督。
今や次世代スター候補の筆頭だが、「役者としてもすばらしいキャリアを歩んでいくはずだよ。彼はニューヨークのラガーディアという演劇を学ぶ有名な高校に通っていたんだけど、そこでの芝居を見たスカーレット・ヨハンソンも『すばらしい』と絶賛していた。とにかく業界が注目する存在だよ」とその将来性に太鼓判を押す。
一方、モレッツ起用にはこんな裏話が。「この作品の企画は、そもそも彼女のお母さんとお兄さんが温めてきたもの。監督を決める段階で、モレッツが僕を推してくれたんだ」。そう語るガバシ監督は「スコセッシをはじめ、名だたる監督の作品に出演し、才能を開花させたモレッツが、大人の女優へと成熟していく瞬間を捉えることができた。彼女自身、撮影時は高校生で、次のステップに進もうとするタイミングだったのが幸運だった」と振り返る。
そして、「一緒に仕事していて本当に楽しくて、最高の役者だと思う。ソウルフルで、人間的な魂を感じさせる資質を持ち合わせている」と絶賛を惜しまない。「アンセルと一緒で、脆さや柔らかさを持っている俳優だと思うし、ふたりとも『人生とはどんなものか?』という命題に、ぎこちないながらも、自分なりに向き合う複雑なキャラクターを見事に演じてくれた」といい、ふたりの相性は抜群だったようだ。
原作は「ティーンエイジノワールとして、マーク・トウェインやJ.D.サリンジャーと並ぶ傑作」と絶賛された小説「NOVEMBER CRIMINALS」。若手スターの共演に加えて、舞台となる米ワシントンD.C.の犯罪都市としての“裏の顔”も重要な見せ場となった。ホワイトハウスのおひざ元である政治の中枢に潜む数多くの社会問題が、本作を通して浮かび上がっている。
「町のあちこちで薬物が密売されているし、シカゴと同じくらいギャングも活動していて、それに関連する殺人事件もとても多い場所なんだ。若者の雇用や人種による分断、ホームレスや貧困の問題が山積している。日本の皆さんはきっとびっくりすると思うし、実はアメリカ国内でも、この映画が描くワシントンD.C.の危機的な現状には、驚きの声があがるほどだったんだ」
劇中には16年に急逝した人気ロックスター、デビッド・ボウイの楽曲が散りばめられている。「アウトサイダーとしてのボウイに魅力を感じる。若い頃の自分も含めて、自分は周りと少し違っていると感じる人々から支持されたスターだからね。この作品は繊細なティーンの少年が、悲しみや喪失感といったトラウマと向き合い、受け入れる過程を描いている。その上でボウイの楽曲が、主人公のアディソンにとって、とてもパーソナルで強いつながりをもった存在なんだ」
最後にガバシ監督は本作にこめた思いをこう語る。「だれもが喪失というものを経験すると思う。それが友人であれ、家族であれ、ときにキャリアかもしれないが、それでも人は前に進めるんだという“希望”を感じ取ってもらえれば、うれしい。どんな絶望であって、乗り越えることができるんだ。大切なのは、人とのつながり。それを手にするのは、簡単ではないかもしれないが、誰にでもチャンスはあるはずだから」
「クリミナル・タウン」は、8月25日から公開。
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