インドの労働者を捉えた「人間機械」監督、「映画を通して外の世界を知って欲しい」
2018年7月20日 16:00

[映画.com ニュース]山形国際ドキュメンタリー映画祭2017のコンペティション部門上映作品で、インドの出稼ぎ労働者たちが直面する苛烈な現実を長回しの撮影で追ったドキュメンタリー「人間機械」が公開する。インドの北西部グジャラート州にある巨大繊維工場を舞台に、劣悪な環境下で働く労働者たちの姿をカメラが捉え、緻密な画面構成と工場の機械音を捉えた音響設計によって、著しい経済成長を遂げるインドの現実をスクリーンに焼き付けた。今作がデビュー作となった新鋭ラーフル・ジャイン監督が作品を語った。
「2015年の11月に、自分ひとりで撮った完成途中の作品を、インドのゴアで開かれた「フィルムバザール」に出品しました。そこにいたフィンランド人の審査員が作品を気にいって、プロデューサーになってくれたのです。また、ドイツの共同製作者が、サウンドとカラーリングのポストプロダクションの資金を工面してくれました。それが、インド・ドイツ・フィンランドの3カ国がクレジットされた理由です」
「映画監督は、救世主のように思われているのでしょうか。ジャーナリストの仕事は、ある情報をAからBに伝える仕事だと皆さん知っている。なのに、映画監督は問題があれば、それに対する答えを知っている、と皆さん考えているみたいですね。この映画は、労働者階級のために作られた映画ではないです。彼らは映画を観る余裕さえないですからね。我々、中流・上流階級の人たちが、余裕のある人たちが考えて、それに従って行動を起こして行く。そのための映画だと思います」
「次作を作りたい。でも、そのことについてはナーバスになっています。映画を作るにはお金もかかりますからね。でも、この映画が成功したことによってできた土台をもとに、そのことを考えると夜も眠れなくなるほど、関心を持ってこだわっている、次の課題に切り込む映画を作りたい。次の作品は、ニューデリーの土地、水、空気の汚染の問題に取り組もうと思っています。
「人間機械」は、7月21日から渋谷ユーロスペースほかにて全国順次公開。
(C)2016 JANN PICTURES, PALLAS FILM, IV FILMS LTD
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