「ピース・ニッポン」中野裕之監督、名所の“空白”は「1時間に6秒ある」
2018年7月7日 08:00

[映画.com ニュース] 約8年間にわたり全国47都道府県・200カ所以上で撮影された映像を厳選し、4K解像度で映画化した「ピース・ニッポン」の試写会が7月6日、東京・ニッショーホールで行われ、メガホンをとった中野裕之監督が上映後のトークショーに出席した。
小泉今日子&東出昌大がナビゲーターが務めた本作は、数年間に1度しか出合えない風景をカメラに収め、神道と仏教が混交する精神・自然観にフォーカスする「日本の精神」、豊かな気候風土が変化を生み出す「日本の四季」、そして奇跡の絶景を紡いでいく「一期一会の旅」という約111分間の3部構成。企画の始まりは、2010年の「3Dブーム」。「当時は“日本を3Dで撮りたい”という思いだけで撮影を進めていました。そして翌年、東日本大震災でショックを受けたと同時に『自分には何ができるか』と考えました。そこで生きている限り、映像、写真、音声で日本を記録していこうと決意したんです」と明かしていた。
撮影の機会は、まさに“一期一会”だ。「桜の名所・弘前城公園にお団子屋さんがあるんです。最初の年は、1週間滞在しても良い桜が撮れなくて、お店の方に『あんた、もう10日間いなさい』と言われましたが、その頃はちょうどゴールデンウイーク。宿の予約もできずに諦めて帰りました。翌年に行ったら、僕にとっては満足な桜が咲いていたんです。でも、お店のおばちゃんは『今年はダメだね~』と(笑)。そんなこと言われたら、その光景を映画にはできない」と苦難の連続だった。
竹内まりやの劇中歌「いのちのうた」の話題に絡めて「“いのち”というものを花びらに託せないかと思い、約2年半も花吹雪ばっかり撮っていました」と語った中野監督。「花吹雪は人を試します。ハラハラとした画が欲しい場合、1時間に7秒くらいチャンスがあるんです」と話した後、注意すべき点を説明する。「開花が進むとチャンスは増えますが、浮気性はダメですね。『ここも綺麗! あそこも綺麗!』とカメラを動かしていると、レンズを向けていないところでハラハラと落ちてたりしますから(笑)」と“二兎を追う者は一兎をも得ず”だったようだ。
千本鳥居のある京都・伏見稲荷大社に関しては「朝の4時半くらいには、中国からの観光客が並んでいる。5時に行ったら大丈夫ということはないんです。正午には身動きがとれない状態」とのこと。「そういうものすごく混雑する場所でも、6秒間は必ず隙間があるんです。例えば、伊勢神宮の内宮の場合でも同じ。ひたすら待っていると、なぜか6秒間だけは参拝者がいないショットが撮れる。(本作は)そればっかり集めた作品」とユニークなエピソードを披露していた。
「ピース・ニッポン」は、7月14日から東京・新宿バルト9ほか全国で公開。
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