美女の復讐譚「REVENGE」監督、「屈辱を強いられた女性が自らの手で晴らす物語」
2018年7月6日 16:00

[映画.com ニュース]フランスの若手女性監督コラリー・ファルジャの長編映画デビュー作「REVENGE リベンジ」が7月7日公開する。男たちにひどい扱いを受けたヒロインが、彼らに復讐する姿を血みどろのバイオレンス描写とスタイリッシュな映像で活写したリベンジスリラーだ。若いころから数多くのジャンル映画に親しみ、影響を受けてきたというファルジャ監督に話を聞いた。
若きセレブのリチャードと不倫関係にあるジェニファーは、砂漠地帯に建つリチャードの豪華な別荘を訪れる。しかし、そこでリチャードの狩猟仲間の男たちにレイプされた挙句に、口封じのため崖の下へと突き落とされてしまう。なんとか一命は取り留めたものの、とどめを刺すため人間狩りを始めた男たちに対し、ジェニファーは復讐を開始する。
「自分はジャンル映画が好きだったので、ジャンル映画で自分がどのような問題意識を与えられるか、という挑戦でした。ビジュアル的に強い世界を作りながら、その中で自分のメッセージを伝えたかったのです。男性が女性のために復讐する作品はよくありますが、私はそういうものではなく、屈辱を強いられた女性が、自分の手で、その屈辱を晴らす物語を作りました。そのためにはジャンル映画の慣習、あるいはリアルな社会の慣習にとらわれずに、究極の形で、女性が自分の復讐をどのように遂げていくかが大事でした」と初監督作の題材について明かす。
圧倒的な量の血のりや、観客が痛みを覚えるような残酷な描写もふんだんに盛り込まれており、昨年のトロント映画祭では、観客が失神するという騒ぎも起きた。「女性のほうが暴力的なシーンを避けずに、見据える気持ちの強さがあると思います。シーンの流れの中の物語性に共鳴させるためのひとつの表現として捉えるのです。トロントで倒れたのが男性だと聞いたときに、女性が残酷なシーンに耐えられないなどということは、単なるクリシェだと思いました」
また、女性監督としてレイプシーンを描くことにはこう言及する。「レイプを見せることがこの映画のテーマではありません。レイプのシーンで、男が『お前がわるいんだ』というようなセリフを言いますが、それは、肉体的なレイプより、いっそう女性を辱めるものとして描くためです。女性の屈辱を沈黙させることを男の人はよしとしている、それもまた屈辱なのです。そして、彼女を見る男性たちの視線もバイオレンスとして描くことが重要でした。しかしその一方で、覗き見するような肉体の動きは与えたくありませんでした」
Jホラー「リング」をハリウッドリメイクしたシリーズの3作目「ザ・リング リバース」でも存在感を見せたマチルダ・ルッツがヒロインのジェニファーを演じた。「ジェニファー役に求めたのはマリリン・モンローのように、セクシーで、ロリータ的な側面と、フィジカルで動物的な部分。マチルダはその二つを兼ね備えていました。とても美しく、肉体的な条件も満たしていました。肉体的なパワーは、マチルダ本人は最初は気付いていなかったようですが、撮り進めながら、ジェニファーと共にマチルダ自身も変貌していきました。私との関係性も重要で、互いに確固たる信頼感があったので、彼女自身がキャパを乗り越えられるような作品になったと思います」
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