「多民族、多文化国家の現実を語ることはタブーではない」「最強のふたり」監督の最新作「セラヴィ!」
2018年7月5日 15:00
[映画.com ニュース]日本でもミニシアターを中心に大ヒットを記録したフランス映画「最強のふたり」のエリック・トレダノ&オリビエ・ナカシュ監督の最新作「セラヴィ!」が、7月6日公開する。昨年公開された本国フランスで、同年の興収ベスト10入りを果たした今作は、パリ郊外の古城で開かれる結婚式を舞台に、様々な立場の登場人物の人生、思惑が交差していくさまを軽妙なタッチで描いたコメディドラマだ。来日した両監督に話を聞いた。
「『最強のふたり』がフランスで2000万人、海外を合わせると5000万人動員という成功を収めたことが、このようなタイプの映画を作り続けても良いという意味のきっかけになりました。物語を作り、笑いに展開させ、多民族、多文化国家であるフランスの現実を語ることはタブーではないのです。また、異文化の背景を持つフランス人俳優が増えており、私たちの作品では、そういった俳優を積極的に使っています」
「『最強のふたり』が成功したからといって、あえて作風を変えることはしていません。日本の方々に見ていただけるのは、とてもうれしいですし、文化的な違いもあって、どういう風に受け止めていただけるか関心があります。今年、日本の『万引き家族』がカンヌ映画祭のパルムドールを受賞しましたが、我々も自分たちのことをきちんと語れば、きっと世界の皆さんにも響くと考えていますので、国際マーケットはそれほど意識していません」
「シナリオを書く前から、彼のことが念頭にありました。直接会いに行き、プロジェクトに参加して欲しい旨を伝えました。フランスでは最高峰の俳優だと思います。オーラがありますし、喜劇が上手い。映画の脚本も書き、第一線の演劇人でもある。どんな仕事も簡単に受けてくれるような人ではないので、私たちの作品にかかわってもらえたことがとてもうれしいです」
「彼はとても要求が高い人で、決して簡単に満足することがないのです。小さなことに関しても、もっと追求するようにと、シナリオの段階から言っていました。また、社交界が嫌いで、セザール賞の受け取りも渋るような人でした。映画界のシステムの外にいる人なのです。このように、なんでも自分の意志を通している映画人として、とても興味深い俳優です」
「細かく設定を作ることもありますし、直感的に出来たものもあります。総合的には、まず全体の構成を考えて作りましたが、一つの場所で複数の登場人物が出てきて、一人一人にその人物の道筋を作って、そして、物語を作って登場してもらう。それが並行して成り立つような構成にしました。コメディですが、その背景ではまずは社会的な問題を問うというベースを大事に、どんな人からも笑いを取れるようにしました」
「やはり、だんだんプレッシャーも掛かってきます。ヒット作が続いているので、そろそろ失敗するんじゃないかと固唾を呑んでいる状態です。でも、私たちは絶対に倒れないと決めたのです。私たちの映画が世界を巡り、他の国の、全く違う考え方を持っている人たちが、映画で近づけることが嬉しいのです」
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「苦役列車」「まなみ100%」の脚本や「れいこいるか」などの監督作で知られるいまおかしんじ監督が、突然体が入れ替わってしまった男女を主人公に、セックスもジェンダーも超えた恋の形をユーモラスにつづった奇想天外なラブストーリー。 39歳の小説家・辺見たかしと24歳の美容師・横澤サトミは、街で衝突して一緒に階段から転げ落ちたことをきっかけに、体が入れ替わってしまう。お互いになりきってそれぞれの生活を送り始める2人だったが、たかしの妻・由莉奈には別の男の影があり、レズビアンのサトミは同棲中の真紀から男の恋人ができたことを理由に別れを告げられる。たかしとサトミはお互いの人生を好転させるため、周囲の人々を巻き込みながら奮闘を続けるが……。 小説家たかしを小出恵介、たかしと体が入れ替わってしまう美容師サトミをグラビアアイドルの風吹ケイ、たかしの妻・由莉奈を新藤まなみ、たかしとサトミを見守るゲイのバー店主を田中幸太朗が演じた。
文豪・谷崎潤一郎が同性愛や不倫に溺れる男女の破滅的な情愛を赤裸々につづった長編小説「卍」を、現代に舞台を置き換えて登場人物の性別を逆にするなど大胆なアレンジを加えて映画化。 画家になる夢を諦めきれず、サラリーマンを辞めて美術学校に通う園田。家庭では弁護士の妻・弥生が生計を支えていた。そんな中、園田は学校で見かけた美しい青年・光を目で追うようになり、デッサンのモデルとして自宅に招く。園田と光は自然に体を重ね、その後も逢瀬を繰り返していく。弥生からの誘いを断って光との情事に溺れる園田だったが、光には香織という婚約者がいることが発覚し……。 「クロガラス0」の中﨑絵梨奈が弥生役を体当たりで演じ、「ヘタな二人の恋の話」の鈴木志遠、「モダンかアナーキー」の門間航が共演。監督・脚本は「家政夫のミタゾノ」「孤独のグルメ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭。
奔放な美少女に翻弄される男の姿をつづった谷崎潤一郎の長編小説「痴人の愛」を、現代に舞台を置き換えて主人公ふたりの性別を逆転させるなど大胆なアレンジを加えて映画化。 教師のなおみは、捨て猫のように道端に座り込んでいた青年ゆずるを放っておくことができず、広い家に引っ越して一緒に暮らし始める。ゆずるとの間に体の関係はなく、なおみは彼の成長を見守るだけのはずだった。しかし、ゆずるの自由奔放な行動に振り回されるうちに、その蠱惑的な魅力の虜になっていき……。 2022年の映画「鍵」でも谷崎作品のヒロインを務めた桝田幸希が主人公なおみ、「ロストサマー」「ブルーイマジン」の林裕太がゆずるを演じ、「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」の碧木愛莉、「きのう生まれたわけじゃない」の守屋文雄が共演。「家政夫のミタゾノ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭が監督・脚本を担当。
2012年に逝去した若松孝二監督が代表を務めていた若松プロダクションが、若松監督の死から6年ぶりに再始動して製作した一作。1969年を時代背景に、何者かになることを夢みて若松プロダクションの門を叩いた少女・吉積めぐみの目を通し、若松孝二ら映画人たちが駆け抜けた時代や彼らの生き様を描いた。門脇むぎが主人公となる助監督の吉積めぐみを演じ、「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)」「11・25自決の日 三島由紀夫と若者たち」など若松監督作に出演してきた井浦新が、若き日の若松孝二役を務めた。そのほか、山本浩司が演じる足立正生、岡部尚が演じる沖島勲など、若松プロのメンバーである実在の映画人たちが多数登場する。監督は若松プロ出身で、「孤狼の血」「サニー 32」など話題作を送り出している白石和彌。
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