皇帝ペンギンに“絶滅の危機” リュック・ジャケ監督が警鐘「想像以上に深刻な状況」
2018年7月4日 20:40

[映画.com ニュース] 南極の過酷な環境で暮らす皇帝ペンギンの子育てに密着したドキュメンタリー映画「皇帝ペンギン ただいま」のスペシャルトークショーが7月4日、東京・池袋のサンシャイン水族館で行われ、フランスから来日中のリュック・ジャケ監督と、日本のペンギン研究の第一人者・上田一生氏が出席した。
第78回米アカデミー賞で長編ドキュメンタリー賞を受賞し、全世界で約2500万人が鑑賞した「皇帝ペンギン」(2005)の続編。最新鋭のデジタル4Kカメラやドローンを駆使し、皇帝ペンギンたちの絆、若鳥の巣立ちの日など感動的な光景をとらえている。
ジャケ監督は、環境破壊による南極の激変と、それに伴う皇帝ペンギンたちの過酷な現状に言及。自身が初めて南極に遠征した1991年と、最後に訪れた2015年を比較し、「衝撃的だったのは、今回、(現地で)雨を初めて体験したこと」と述べる。「雨が降ると、特に雛に対する弊害が大きいんです。雛の羽毛には、まだ防水機能がない。濡れてしまった雛は凍死していくしかなく、たくさんの雛が凍死してしまうことが、ここ数年記録されています」と神妙な面持ちで話し、「想像以上に深刻な状況が起こっています。研究者のデータによると、このままの進むと、50年以内に南極の皇帝ペンギンは絶滅するだろうと言われています。私ができることは、(映画を通じて)そういう状況をたくさんの人に知らしめ、意識改革を促すことだと思っています」と絶滅の危機に警鐘を鳴らしていた。
また、続編製作のきっかけを問われたジャケ監督。「15年にパリで開催されたCOP21(第21回気候変動枠組条約締約国会議)と連動し、南極の現状や皇帝ペンギンの生態系のライブ映像を提供する機会があり、その期間に南極を訪れました」としたうえで、「前作には、水中の映像がほとんど入っていません。様々な事情で不可能だったからですが、皇帝ペンギンたちは水のなかで人生の半分を過ごします。それを表現できなかったフラストレーションがあり、COP21をきっかけに再び南極へ遠征し、この映画を撮ることになりました」と説明した。
これを受け、上田氏は「ダイバーが命がけで撮った水中映像、素晴らしい。またドローンの映像は、南極でペンギンをドローンで追うというのはめったになかった。いろんな視点で皇帝ペンギンを見ることができる、非常に立体的で貴重な映画です」と感動を噛み締めながら絶賛。水中撮影が今作の最難関だったようで、ジャケ監督は「水深100メートルで撮りましたが、世界でも初めての映像だと思います。ダイバーが装備をして潜りますが、1回の潜水で約6時間、水温はマイナス2度です。彼にとってはものすごいストレスですし、初めてのことなので、毎回毎回危険を伴います。小さい見落としが重大な事態をまねくので、機材などには細心の注意を払いました」と振り返っていた。
「皇帝ペンギン ただいま」は、8月25日から全国順次公開。
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