バンクシー、パリを「電撃攻撃」 フランス5月革命へのオマージュか
2018年6月29日 09:00

[映画.com ニュース] イギリスの覆面アーティスト、バンクシーが、仏パリで難民問題を題材にした新作グラフィティを次々と制作しているが、これらの作品には1968年のフランス5月革命へとオマージュという側面があるようだ。
パリでは、国連が定めた“世界難民の日”にあたる6月20日頃(現地時間)から、難民をテーマにした複数のグラフィティが発見されている。なかでも難民が路上生活している道路の壁に描かれた、黒人の少女が逆カギ十字の上にピンクのアラベスク模様のスプレーしている作品は、海外メディアでも数多くとりあげられた。
バンクシーは、自身のInstagramアカウントでパリでの新作の一部を紹介しており、口元を布で覆ったネズミがカッターナイフを抱えたグラフィティの写真には、「1968年にパリで反乱が起きてから50年。現代のステンシルアートはこの地で誕生した」というコメントともに投稿。ほかにも、フランス5月革命で学生と警察が衝突したソルボンヌ大学構内では、赤いリボンを頭に乗せたネズミと「MAI 1968」の文字を組み合わせたグラフィティが発見されており、フランス5月革命を意識していることは間違いなさそうだ。

バンクシーはAFP通信に対し、パリの一連の壁画は「電撃攻撃だった」と認めている。同通信社は、バンクシーが自身の“アバター”として使用しているネズミのモチーフは、「ステンシル・グラフィティの父」と呼ばれるパリのグラフィティアーティスト、ブレック・ル・ラットへのオマージュだとと指摘。フランス5月革命中にストリートアートやスローガンのグラフィティが興隆したという関連性についても言及した。また、20世紀フランス思想・文学を専門とする、首都大学東京の西山雄二准教授は2008年の講演会で、5月革命は「フランス社会において移民の存在がはじめて可視化した出来事」と述べている。常々、移民・難民問題を題材にしてきたグラフィティアーティストにとって、5月革命から50年の節目にパリで活動することには大きな意味があったのかもしれない。
逆カギ十字を書く少女のグラフィティは一部が青いペンキで上塗りされてしまったが、ソルボンヌ大学のグラフィティには透明の保護プレートが設置された。バンクシーの作品は、これまでも消去されたり、周囲に違うグラフィティを書き足されたり、勝手に転売されたりと様々な運命をたどってきた。ドキュメンタリー映画「バンクシーを盗んだ男」(8月4日公開)では、ベツレヘムの壁に描いた壁画がオークションに出品される顛末から、バンクシーと彼の作品が持つ影響力を浮き彫りしている。
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