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西葛西のインド人は「バーフバリ」をどう見た? 21歳のイケメンカレー店スタッフに聞く

2018年6月15日 19:00

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取材に応じたアビプライ・デワンさん(右写真)と 「バーフバリ 王の凱旋 完全版」ポスター(左画像)
取材に応じたアビプライ・デワンさん(右写真)と 「バーフバリ 王の凱旋 完全版」ポスター(左画像)
(C)ARKA MEDIAWORKS PROPERTY, ALL RIGHTS RESERVED.

[映画.com ニュース]インド国内で歴代の興行収入記録を塗り替えた「バーフバリ」シリーズ。第2作「バーフバリ 王の凱旋」は本国だけでなく、中国やアメリカなどでも高い人気を博し、世界興収約300億円を叩き出しました。メガホンをとったS・S・ラージャマウリ監督いわく、ヒットの要因として「世界中で、現地に住むインド人が大勢見に来てくれた」ことも非常に重要だったそうです。そこで疑問。日本在住のインド人は、「バーフバリ」についてどう思っているんでしょうか? 映画.comが話を聞いてきました。

■西葛西のカレー屋をひたすら回ってみました

ということで、やってきたのは東京都江戸川区・西葛西。2000年代からインド人が多く流入し、今では“リトル・インディア”“日本で一番インド人が多い街”と称されています。そう言われると、駅の西に流れる荒川が、なんだかガンジス川に見えてきますね。

「バーフバリ」に熱狂している、というインド人を探すために、カレー屋をひたすら回ってきました。ふらりと店に入り「あの~」と声をかける、という調査を行ったんですが、これが大苦戦……。全く見つからない数日間の末に、西葛西駅南口から徒歩約5分の「デリーダバ インド料理」(東京都江戸川区西葛西6-12-9 国吉ビル2F)で、ついに“マヒシュマティ王国民”を発見しました!

同店のマネージャーを担う、アビプライ・デワンさん、21歳。冒頭に載せた写真のイケメンです(写真はデワンさん提供)。首都ニューデリー出身で、02年から日本でレストランを経営する父親を手伝うため、19歳だった16年に日本にやってきたとのこと。ちなみに趣味はクリケットで、日本クリケットリーグ2部の首位を走る「Men In Blue」でプレーしています。そのほか店で働くかたわら、東洋大学での英会話講師、写真家、登山家の顔も持ち、ナショナル・ジオグラフィック誌の仕事でヒマラヤ山脈を登ったこともあるそう。さらに18歳まで、インドのファッション雑誌でモデルとして活動していたそうです。

なに、その経歴は? 偶然、すごい人に出会ってしまった。21歳ながら豊富な人生経験を持っているためか、饒舌かつ知的な口調で取材に応じてくれました。

■「王の凱旋」は「みんなが待ち望んでいた」

まず、第1作「バーフバリ 伝説誕生」の感想は? デワンさんは「面白かった」と身を乗り出します。「『伝説誕生』は(移住前の)冬休みで日本へ遊びに来た際、父と一緒に見ました。父は夜中の0時に仕事から帰宅し、僕と一緒に映画を見ることが日課。夜中だったので、見始めたときは実はとても眠かった(笑)。でもストーリーが進むにつれて集中し、熱中しながら最後まで見てしまった」。

「『伝説誕生』を見て、続きが気になって気になって。続編の『王の凱旋』を心待ちにしていました。とても強いヒーローの物語だし、監督の演出やスタントもとても良かった。インドでも、『王の凱旋』はみんなが待ち望んでいたと思う」と語るデワンさん。「伝説誕生」の度肝を抜くアクションや、クライマックスの“クリフハンガー”は、インド人もびっくりだったようです。

そして「王の凱旋」は、移住後の日本にて鑑賞。「主演のプラバースは、南インドでは大スターだそうだけど、(ニューデリーなど)北インドではほとんど知られていなかった。僕もこの映画で初めて知った。だから彼は、インドで広く人気になったと思う。とてもいい俳優だよね」と明かします。インドは800以上の言語が存在するとされ、超多様な文化が混在するだけに、同じ国と言えど「北の人は南の俳優を知らない」ことも普通なんだとか。それでもデワンさんは、「(本国でも)この映画はたくさんの人が『好き』と言っていた。だから、興行収入もいいんだろうね」と言います。

お気に入りのキャラを問うと、「難しいな~! 主人公だけでなく、主人公が愛する人々、周りの人々をとてもうまく描いているからね」と額に手を当てるデワンさん。考え込んだ末に「選ばなければいけないなら、カッタッパがいい」と答え、「『伝説誕生』で、両膝でスライディングしながらシヴドゥに忠誠を誓うところが最高」と大笑いしていました。食いつくポイントは、日本人とそんなに違わないんですね。

■インドでの上映風景は「Amazing」

日本では派手に騒ぎまくる“絶叫上映”や“マサラ上映”が人気を博していますが、本場インドでの上映風景はどんなものなのでしょうか。そう聞くと、デワンさんは一言、「Amazing……」とつぶやきました。

「まるでスタジアムみたいなんだ。口笛を吹いたり、踊ったり、大歓声があがったり、食べ物が飛んだり。騒々しすぎて、スクリーンで何が起こっているか全くわからない(笑)。でも、それがとても楽しい。インドでだからこそできる見方だと思うから、もし僕や、僕の友だちが日本の絶叫・マサラ上映に行っても、緊張しちゃって、ああいう風には見られないと思う」

最後に、デワンさんからアピールタイムです。「9種類のカレーが食べられるし、土日はバイキングもやっています。ぜひ『デリーダバ インド料理』に来てね」。西葛西にお越しの際は、足を運んでみてはいかがでしょうか。

執筆者紹介

尾崎秋彦 (おざき・あきひこ)

映画.com編集部。1989年生まれ、神奈川県出身。「映画の仕事と、書く仕事がしたい」と思い、両方できる映画.comへ2014年に入社。読者の疑問に答えるインタビューや、ネットで話題になった出来事を深掘りする記事などを書いています。


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