両親から捨てられた少女映したポーランドのドキュメンタリー「祝福」監督と呉美保監督が対談
2018年6月10日 15:33
[映画.com ニュース]山形国際ドキュメンタリー映画祭2017のコンペティション部門で大賞を受賞したポーランドのドキュメンタリー「祝福 オラとニコデムの家」の試写会イベントが6月7日都内であり、来日したアンナ・ザメツカ監督と「きみはいい子」の呉美保監督が対談した。
映画は、母が家出し、酒で問題を抱える父親と、自閉症の弟を抱え、大人に守られることなく必死に生きる少女オラの姿を追ったもので、弟がカトリックの聖体式に臨むまでの過程を映す。
呉監督は本作に深い感銘を受けたといい、オラの強さは「信仰を持っているからでしょうか?」とザメツカ監督に尋ねる。「オラは信仰深いのではなく、むしろ神の存在を疑っている女の子。もし、神が本当にいれば、私たちをこのような状況に追いやらないだろうと考えているのです。彼女にとって、洗礼式は家族が再び出会うためのきっかけ、母親と再会することができるのではと思っているのです」と述べ、「なぜ私がこの映画で聖体式を中心においたかというと、これを中心に物語のナレーションとして、子どもから大人へ移行していく象徴として扱おうと思ったのです」と説明した。
また、オラにカメラを意識させないようにした工夫として、「時間のほかに重要だったのは、カメラが彼女の置かれた人生の目撃者になってあげるということ。彼女が弟の面倒を見ていることに対して、一般の人はよくやってると褒めることはありますが、彼女はそれを必要としていません。むしろ彼女が欲しがっているのは、その状況が不公正であるということを理解し、カメラやスタッフがそれを見守ることが重要だったのです」と話した。
「きみはいい子」で、虐待してしまう母親を描いた呉監督は、実際に起きた児童虐待事件ニュースを挙げ「ニュースを見て、息の出来ないような気持ち。連行されていく姿を見て、その人たちの心に足りなかったものを考えて、それは彼らが生きてきた中での環境、愛が存在しなかったのかな、本当の事情は知らないけれど、どうしてこんなことをしちゃったのだろうと、彼らの親の親の親の連鎖として考えてしまう。抱きしめられて育った人は、子どもを抱きしめられると思っている。この映画に出てくるお母さんについても、考えさせられた。大人でも抱きしめられたらうれしいもの。オラにとって、血がつながってなくてもそういう人に出会うことは救いがあると思う」と語った。
「祝福 オラとニコデムの家」は、6月23日公開。
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