トッド・ヘインズ監督が語る「ワンダーストラック」での新たな挑戦
2018年4月6日 20:00
[映画.com ニュース] 「キャロル」のトッド・ヘインズ監督が、「ヒューゴの不思議な発明」の原作者の同名ベストセラー小説を実写映画化した「ワンダーストラック」が、4月6日から公開中だ。アマゾン・スタジオの製作で、1977年と27年という2つの異なる時代を舞台に、それぞれ大切なものを探す2人の子どもの旅を、白黒サイレントと音声付カラーという独創的な手法を用いて描き出す。来日したヘインズ監督に話を聞いた。
77年のミネソタ、母を亡くした少年ベンは、父を探すためニューヨークに旅立つ。その50年前のニュージャージー、聴覚障害の少女ローズもまた、憧れの女優に会うためにニューヨークへ向かう。異なる時代に生きた2人の物語が、謎めいた因縁で結びつき、ひとつになっていく。
「ぼくにとってこの作品が新しいチャレンジだったことは間違いではないし、まず、やりたいと思わせてくれた理由のひとつが、ブライアン・セルズニックの原作で、子どもたちが主人公だということでした。セルズニックは子どものキャラクターに対する感受性が本当に素晴らしくて、子どもが持つユニークなものの見方を信頼して本を書いています。キャラクターたちは、それぞれの世界で自分の直感を信頼して、その使命をつかんで進んでいくある種の強さをもっているんです。それは言い換えれば、子どもだからこそ持てる好奇心の強さで、それは大人も思い出すべきものなのです」
「オークスは主演経験もあり、利発な少年です。ある種自分のやってきたことを誇らしく思っているから、自分が主演でも大丈夫だというアピール力もあった。そういうところすべてがベンというキャラクターを形作っったのです。一方、初めからローズ役には実際に障害を持っている子どもをキャスティングするつもりでした。演技経験がなくても、そこからお互いが学び合えるという気持ちで臨みました。ミリセントは、自分の直感をしっかり持っていて、それに従う女の子です。オーディションのテープを見たときから彼女には自信がみなぎっていましたね」
「今回は様々な年齢の子どもたちにも試写に参加してもらい、この映画の編集の選択にとって意義深い様々な意見をもらいました。たとえば、2つのストーリーのバランスをどのようにとるか、主観的な要素の強い物語が進むので、どこを強調していくのかなど、とても参考になりました。彼らの言葉がこの映画を形作ってくれたといっても過言ではありません」
「フィルムで撮影していたので、最初に質感を決めると途中で変更はできません。でも、その選択で、今回白黒もカラーもフィルムを使って美しい映像が出来たと思っています。技術的な面で大変だったのは、撮影の方。子役が主人公だったので、現場での1時間の労働時間が決まっており、長く撮影することができないのです。ですから、毎日両方の年代を撮らなければなりませんでした。屋外のシーンでは、エキストラや背景を全部変えて撮影するのに苦労します。カメラマンと綿密に準備をしているので、絵作りの問題はないのですが、今のブルックリンやクイーンズでも1970年代のニューヨークの雰囲気を持つ場所が少なくなってきています。一部CGを使いましたが、20年代より70年代のロケハンが大変でしたね」
「ワンダーストラック」は、角川シネマ有楽町、新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ渋谷ほかで公開中。
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