オンライン映画祭「マイ・フレンチ・フィルム・フェスティバル」今年の見どころ
2018年1月29日 15:00

[映画.com ニュース]今年第8回目を迎えたオンライン映画祭、マイ・フレンチ・フィルム・フェスティバルが、1月19日から開催されている。世界にフランス映画をプロモートするユニフランスの主催によるもので、公式サイトmyfrenchfilmfestival.comのプラットフォームを通してオンラインで世界中の観客にフランス映画を配信する画期的な試みだ。iTunesでは90カ国以上でアクセスが可能な他、日本でも8つのパートナーが連動し、日本語字幕も付いている。料金は短編の場合無料。長編は1本につき1.99ユーロ(日本円に換算)、もしくはパック料金がある。
今年のラインナップはコンペティションに長編、短編が各10本。その他、テーマ別による旧作リバイバルなど、合計30作が並んだ。ギョーム・カネ監督、カネ&マリオン・コティヤールの夫婦共演コメディ「ロックンロール」や、いまフランスで注目の若手女性監督ジュスティーヌ・トリエの新作「ヴィクトリア」、カトリーヌ・ドヌーブ主演の短編など話題作が揃う。とくにお勧めしたいのは、「7月14日の娘」で注目されたアントナン・ペレジャコの「ジャングルの掟」と、昨年カンヌ映画祭の批評家週間部門で上映され、注目を浴びた新鋭監督レア・ミシウスの「アヴァ」だ。
カイエ・デュ・シネマ誌により2016年のベスト8に選ばれた「ジャングルの掟」は、監督の型破りな資質が炸裂した独創的な作品。外務省付きの研修生が、地域開発プロジェクトのためギアナの密林に送られ、そこで男勝りの女性アシスタントと出会い繰り広げる冒険譚。フランスの植民地主義的思想を痛烈に風刺しながら、ヌーベルバーグへのオマージュからカンフー映画への偏愛まで込めつつ、ロマンティックなコメディに仕立てた。主演はうだつの上がらない男をチャーミングに演じることにかけて右に出るもののいないバンサン・マケーニュ(「メニルモンタン 2つの秋と3つの冬」)。これがいまだ日本で劇場未公開というのはなんとも勿体ない話で、この機会にぜひキャッチして欲しい。
「アヴァ」は、視力を失いつつある少女が過ごすひと夏のバカンスの物語。「最後の夏の風景」を目に焼き付けつつ、不安と焦燥のなかで生きる思春期の少女の気持ちが、監督の繊細なフィルターを通して語られる。躍動感と奇妙なテイストの混ざり合った印象的な作品だ。

ドキュメンタリーではオリビエ・バビネの「スワッガー」もフランスで高い評価を受け、ロングラン・ヒットを記録した。治安の悪い郊外に住む11人の子供たちにフォーカスを当て、彼らが語る将来への夢と日常のギャップを浮き彫りにする。映像、編集を含め純粋なドキュメンタリーというよりかなり作り込んだ内容に、監督の手腕を感じさせる。フェスティバルは2月19まで開催され(作品によって視聴期間の限定あり)、審査員メンバーによる授賞とともにオンライン観客投票によって選ばれる観客賞もあるので、ぜひ奮って参加して欲しい。
今年の審査員は、団長のパオロ・ソレンティーノを筆頭に、フィリピンのブリランテ・メンドーサ、ショッキングなホラー「RAW 少女のめざめ」で一世を風靡したジュリアン・デュクルノー、「変人村」のキム・シャピロ、モロッコの監督ナビル・アユシュの5人。オープニングを記念して1月19日には文化省でセレモニーが開催された。
また、毎年この機会に選ばれる、フランス映画を代表する映画人に与えられるフレンチ・シネマ・アワードは、ジュリエット・ビノシュが受賞。「自分がこんな賞を頂けるとは思ってもいなかった」とスピーチで声を詰まらせていた。
ビノシュといえば昨年後半に、河瀬直美の日仏合作の新作「Vision」の撮影で日本に滞在していたことが知られる。作品についての詳細はまだ語れない様子だったが、奈良での撮影を堪能したそうで、「とくに自然の美しさに心を奪われた」と語ってくれた。(佐藤久理子)
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