鬼才・松本俊夫監督の“映像遺産”を特集上映! 軌跡に迫る記録映画も初披露
2017年11月4日 13:45
[映画.com ニュース]2017年4月12日に85歳で亡くなった映像作家・松本俊夫の特集上映「追悼・松本俊夫 ロゴスとカオスのはざまで」が、12月9日から東京の渋谷シアター・イメージフォーラムで開催されることが決定した。
大島渚監督や寺山修司、作曲家の武満徹や一柳慧、グラフィックデザイナー・粟津潔、写真家・東松照明、建築家・磯崎新といった60年代を彩る豊かな才能と交流し、“松竹ヌーベルヴァーグ”をはじめ当時生まれつつあった革新的な映画表現に大きな影響を与えた松本監督。記録映画、実験映画、劇映画、ビデオ・アートをボーダレスに行き交い、あらゆる分野で先駆的な映像作品を遺した異才として知られ、英チャンネル4の映画評論家ジョン・フォートギャングは「ジョナス・メカス、アンディ・ウォーホル、ゴダールが映画に変革をもたらしていた1960年代、日本でも同じくらい重要な映画の革命が起こっていた。その先頭に立っていたのが松本俊夫である」と評している。
本特集では、現在でもカルト的に人気を誇る「薔薇の葬列」、鶴屋南北の狂言を基にした時代劇「修羅」、豊川海軍工廠壊滅の悲劇を背景とした「十六歳の戦争」の長編3本がラインナップし、短編作品をA~Dのプログラムに分けて上映。プログラムAでは「西陣」「石の詩」「母たち」、プログラムBでは「つぶれかかった右眼のために」「エクスタシス<恍惚>」「メタシタシス<新陳代謝>」「モナ・リザ」「ファントム<幻妄>」「アートマン」「ホワイトホール」「気配」「ディシミュレーション<偽装>」、プログラムCでは「エクスパンション<拡張>」「アンディ・ウォーホル=複々製」「色即是空」「エニグマ<謎>」「コネクション」「リレーション<関係>」「シフト<断層>」「スウェイ<揺らぎ>」「エングラム<記憶痕跡>」、プログラムDでは「安保条約」「白い長い線の記憶」「300トントレーラー」が堪能できる。
また、筒井武文監督が10年の歳月をかけて完成させたドキュメンタリー作品「映像の発見=松本俊夫の時代」が、本特集上映で劇場初公開となる。第1~5部の構成、総尺約700分間に及ぶ長大な作品となっており、作品の引用、関係者や時代を象徴する批評家たちへの膨大なインタビューによって、松本監督の半世紀にも及ぶ軌跡に迫る。
特集上映「追悼・松本俊夫 ロゴスとカオスのはざまで」は、12月9日~22日に渋谷シアター・イメージフォーラムで開催。