「三度目の殺人」是枝裕和監督 見せ場カットを許した福山雅治に感謝
2017年11月2日 13:30
本作は、殺人罪で起訴された被告(役所広司)の弁護を担当する弁護士(福山雅治)が、被告の言動に惑わされ、真実の難しさに直面する法廷サスペンス。「そして父になる」の福山雅治と再びタッグを組んだ。これまで家族を主題にしてきた是枝監督にとって、少し路線の違う作品になっている。
是枝監督は「同じ声で歌っているのですが、メロディライン、楽器の構成は違うかな。しばらくホームドラマを意識的にやってきた。狭く限定して、いかに人間が描写できるか、と。今回は視野をやや広く関心を持った、ある事件をめぐる話。そこは変えた部分です。(脚本を)書きながら、撮りながら、気づいたのは、普段、私達が手にしている正義や真実というものは、真実ではないかもしれない。そのあいまいさ、その怖さを描けるかもしれないと思った」と話した。
脚本、監督、編集の三役を手がけるというのがスタイル。「監督して、戻って編集、また、脚本を直すというのが一連の動き。同時並行しうるやり方をしているので、現場で起こっている面白いことを取りこぼさないで済む、ということはあります。今回は現場で見た以上に、弁護士さんのアドバイスをもらいながら、ブラッシュアップして、余白を残しながら先に進むという感じでした」。
その過程で、「結末」が変わったということがあったのか? と聞かれると、「撮っているうちに、たどり着こうとしたものがいらなくなったり、ということはありますけど……。いや、今回はだいぶ変わったわ! 別の着地も撮っている。役所さんの演技を見て、僕自身も分からなくなってしまった。もっと分かりやすい着地も考えたんですが、(被害者の娘役の広瀬)すずの『ここでは誰も本当のことを言っていない』というセリフに繋がるよう、本当のところを言っている部分を切っていった。編集の形にたどり着いたのは、もう完成しなければいけないという時だった」
バッサリ切ったのは、福山の見せ場である最終弁論のシーン。「何ページもあったけど、ワンカットで撮りますと言ったら、福山さんは完全に覚えてきてくれた。もうひとつのクライマックスと言える場面だけど、全部カットした。福山さんは(そのシーンがないので)驚いたと思うけど、『この形で納得できたので、気にしなくて大丈夫』とLINEしてくれた。感謝しています」。観客から「DVDの特典に入れて」との声を受けると、「検討します」と答えていた。
「昨日、現役の検事にお会いしたら、『いるんだよね、ああいう殺人犯。分からないんですよね、と言われて。ちょっとうれしかった』。でも、『死刑案件だと、検事が目配せで済ますことはしないけど』と。そこは一応釘を刺されました」と笑う。米ロサンゼルスから帰国したばかりという是枝監督。「いま、次の作品の準備に入っていて、冬に撮影します。公開の時期はまだ決まっていないのですが、また、ここに呼んでもらって、またお会い出来れば」と“再会”を約束した。
東京国際映画祭は11月3日まで開催。
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