「飢えたライオン」緒方貴臣監督は“深田晃司的”才能の持ち主!?
2017年10月27日 17:45
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[映画.com ニュース] 「子宮に沈める」の緒方貴臣監督最新作「飢えたライオン」が10月27日、第30回東京国際映画祭の日本映画スプラッシュ部門でワールドプレミア上映され、緒方監督をはじめ、キャストの松林うらら、菅井知美、日高七海、加藤才紀子、小木戸利光、撮影監督の根岸憲一氏がTOHOシネマズ六本木ヒルズでのティーチインに臨んだ。
本作は、映像や情報の持つ“可虐性”を描くとともに、それらを消費する人々の中にある邪悪な“欲望”をあぶり出す意欲作。児童ポルノ禁止法違反の容疑で警察に連行された教師の性的動画が流出し、その相手が教え子の瞳(松林)だというデマが拡散。デマは事実のように広がっていき、追い詰められた瞳は自殺してしまう。教師の逮捕と生徒の自殺というスキャンダルは、マスコミの格好の餌食となり報道は加熱し、瞳の“虚像”が社会によって作られていく。
「映画製作を通じて、自分のわからない問題を知っていく」というスタンスの緒方監督は、本作を実際に起きた3つの事件から着想した。「(ある事件では)被害者はもう亡くなっているのに、テレビでは美化され、反対にネットではその人物を俗として扱っていた光景を目の当たりにした。3つの事件を見たときにひとつのつながりが出来て、映像や情報が持つ暴力性を感じたんです」「つくりたい題材が決まった時、実像は既にいないのに、まるで存在しているかのように像がつくられる様を、映画で表現できないかと思ったんです」と製作のバックグラウンドを語っていた。
「劇中で描かれる問題に対して対処する術は?」と問われると「今の世の中に足りないものは“想像力”だと思っています」と緒方監督。「他人のことを考えられないから不寛容になり、窮屈な世の中になっているんじゃないかと思う。なるべく自分の頭で考えてほしくて、(自作では)あまり説明しすぎないように気をつけています。だからこそ、本当は今のような質問もなくなればいいですよね」と回答。さらにタイトルの意味について質問されると、画家アンリ・ルソーの名を挙げた。「(同名の絵には)ライオンがカモシカを食べている周囲で、おこぼれを狙うヒョウ、ただ静観しているフクロウがいます。匿名性が保たれるジャングルの光景が、現代の日本社会に近い気がしたんです」と理由を明かしていた。
主人公・瞳を演じた松林は「脚本を読んだ時にめちゃくちゃ面白いと感じました。ヘビーな役だったので、自分がどうなってしまうのかと考えました」と撮影の1カ月前からリハーサルに励んだようだ。「渋谷にある西武(百貨店)のトイレでリハーサルもしたことも(笑)。彼氏役の(水石)亜飛夢君も練習に付き合っていただきましたし、本当に恵まれた環境で演じる事ができました」と感慨深げに語っていた。
「どうも、ジョニー・デップです」と茶目っ気たっぷりに挨拶した根岸氏は「私は映画の世界に入って約40年。色んな監督と組んで、様々な作品を撮ってきました。大体こう撮ればいいというのはわかるのですが、(緒方監督は)話をしていてもわからない。そうなったのは、2人目なんです。1人目は深田晃司」と告白した。「(深田監督も)最初は何を言っているのかわからなかった。何をどう考えているかわからなくて(笑)。これはある種の才能だと思う。完成した『飢えたライオン』を見たらすごかったですから」と緒方監督の異才ぶりを褒め称えていた。第30回東京国際映画祭は、11月3日まで開催。
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