J=P・メルビル展開催 タランティーノ、北野武らに影響を与えた仏映画界の一匹狼
2017年9月26日 20:00
[映画.com ニュース]暗黒映画の旗手として知られる、フランスの映画監督の生誕100年を記念した展覧会「生誕100年ジャン=ピエール・メルヴィル、暗黒映画の美」が9月26日、東京・京橋の東京国立近代美術館フィルムセンターで開幕した。
フランスのノクチュルヌプロダクションとの共同開催で、ドキュメンタリー「コードネームはメルヴィル」(2008年)の監督オリビエ・ボレールが長年収集してきた資料を中心にその孤高の生涯と業績を振り返るもの。日本ではジャン=ポール・ベルモンド主演、メルビルにとって初の暗黒映画「いぬ(1963)」が初めて公開され人気を博し、アラン・ドロン主演の「サムライ(1967)」「仁義」などがヒット。男同士のハードボイルドな世界を描いた作風がクエンティン・タランティーノ、ジム・ジャームッシュ、北野武ら、後世の映画監督に多大な影響を与えた。
同展の企画担当・主任研究員の岡田秀則氏は「アメリカ映画を好み、弟子につかず、独学で映画を撮り始めた人」「フランス映画界の一匹狼で、当時の監督で唯一自分の撮影所を持っていたが、『サムライ』撮影時の火事で閉鎖されたために、現存する資料が少ない」とメルビルのバックグラウンドを紹介。レジスタンスをテーマにした自主制作の初の長編「海の沈黙」から、遺作の「リスボン特急」まで作品にまつわるエピソードを解説し「展覧会と上映企画で独立独歩の監督の仕事に触れてほしい」と話した。
「生誕100年ジャン=ピエール・メルヴィル、暗黒映画の美」は12月10日まで開催。本展に平行し、PFFぴあフィルムフェスティバル(開催中)、アンスティチュ・フランセ東京(11月4日~)、角川シネマ新宿(11月11日~)で上映が行われる。