「ボン・ボヤージュ」はアクションとコメディのハイブリッド!気鋭監督が自信あらわ
2017年7月22日 09:00
[映画.com ニュース] 英語リメイクが決定したフランスのヒットコメディ「真夜中のパリでヒャッハー!」を手がけたニコラ・ブナム監督が、最新作「ボン・ボヤージュ 家族旅行は大暴走」(公開中)について語った。
「アーティスト」のプロデューサーを務めたトマ・ラングマンが製作を務め、「グランド・イリュージョン」で知られるジョゼ・ガルシアや「美女と野獣(2014)」のアンドレ・デュソリエが出演したコメディ。整形外科医の父トム(ガルシア)、妊娠中の母ジュリア(カロリーヌ・ビニョ)と2人の子どもたち、祖父ベン(デュソリエ)は最新人工知能を搭載した新車メデューサでバカンスに出かけることに。だが、出発早々にブレーキが故障してしまい、車は時速160キロで暴走する。
ブナム監督は、フランスの若きヒットメーカーとして名をはせる新鋭監督。「(『真夜中のパリでヒャッハー!』の後日譚)『世界の果てまでヒャッハー!』のあと、プロデューサーたちが『君のための作品がある』と言うんだ。物語は『世界の果てまでヒャッハー!』とまったく違うけれど核になるのは同じで、『スピードを落とせなくなった“狂気の”車の中の一家』を描いていた。プロデューサーたちは、この企画にふさわしい監督を探していた。アクション映画を作れる監督はいたけれど、彼らにはコメディの感覚が欠けていて、逆にコメディの監督はアクション映画に慣れていなかった。私なら2つの要素を融合してうまく映画を作れると、彼らは考えたのだと思うよ」と企画との出合いを明かす。
ブナム監督の言葉通り、本作はコメディながら過激なカーアクションが詰め込まれている。出演者が車に実際に乗り込み、ハイウェイでの撮影を行ったそうで「リアルな環境で俳優たちが撮影できたことで、彼らの演技が生き生きとして目つきなども真実味が増したんだ。スタジオで撮影していたら無理だったね」と振り返る。「ハンドルを切るたびに、皆しがみついていた。『OK、シナリオ通りだな』っておかしかったよ。今回の撮影手法は、すべて役者たちがいい演技をするためなんだ。高速道路を封鎖するのが楽しいからやってるわけじゃないよ。俳優たちは最初は怖がっていたが、この撮影手法は随分彼らの役に立ったと思う」とリアルな恐怖をカメラに焼き付けることが達成できたことに満足げな様子を見せた。
本作の陰の主役ともいえるメデューサについては「翌日に撮影するシーンの準備をする老女優のように、メカニックや車のメーカー、メデューサのためだけに呼ばれたエンジニアなどのスタッフ全員が世話をしたよ。撮影プランに従って、何もかも調整しなければならなかったんだ。ストーリーも撮影も最初から最後まで車に合わせるのは、大変なことだったよ」と回想。これまでにない苦労を経て完成した本作に「皆、試行錯誤しながら映画を作り上げていった。だからできたとも言える。一言で表すとすれば、1番近いのは“冒険”かな。常識を超えた、素晴らしい冒険だった」と感慨をにじませた。