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菊地成孔&ジャーナリスト宇野維正「ムーンライト」の“革新性”を独自目線で解説

2017年5月12日 15:00

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色彩感覚や画面の切り取り方を評価
色彩感覚や画面の切り取り方を評価

[映画.com ニュース] 第89回アカデミー賞で作品賞、助演男優賞、脚色賞に輝いた「ムーンライト」(公開中)のトークイベントが5月11日、東京・シネマート新宿で行われ、音楽家・文筆家の菊地成孔氏、映画・音楽ジャーナリストの宇野維正氏が同作の魅力を語り合った。

米マイアミの貧困地域で孤独な生活を送る黒人少年シャロンが、自己のアイデンティティを模索するさまを幼少期(アレックス・ヒバート)、少年期(アシュトン・サンダース)、青年期(トレバンテ・ローズ)の3つの時代構成で描く。ブラッド・ピットが製作総指揮を務め、長編2作目となるバリー・ジェンキンスがメガホンをとった。

菊地氏は「アフロアメリカンを描いた過去の映画に比べると、ものすごく静かなトーン。タイトルが象徴するように、月光の下で淡々と語られている」と指摘。特に幼少期、少年期を描くパートの色彩感覚について「月光の光学的な効果もあり、非現実的で美しい。芸術に精通した高い美意識」と絶賛した。

また、「紋切り型に縛られつつあった北米のアフロアメリカンカルチャーとは真逆で、芸術的にも成熟している。脚本の機械的な精密さも含めて、なんとなくのセンスで撮った映画じゃない」と同作の革新性と精度の高さに言及した。

一方、宇野氏は「タブレットでの鑑賞を意識し、寄りが多い作品が増えている」と映画界のトレンドを語り「この作品はまさに、インスタ時代の映画。時代の移り変わりとともに、映画の形が変わりつつある」と分析していた。

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