中田秀夫監督&飛鳥凛、ロマンポルノ「ホワイトリリー」に込めた“懐かしさ”と“新しさ”
2017年2月6日 21:00
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[映画.com ニュース] 女性同士の愛憎渦巻く関係を描いたロマンポルノ「ホワイトリリー」を手がけた中田秀夫監督と主演女優の飛鳥凛が映画.comの取材に応じ、作品の舞台裏を語った。
1970~80年代に社会現象化した成人映画レーベル「日活ロマンポルノ」を、中田秀夫、行定勲、塩田明彦、白石和彌、園子温ら5人の監督が復活させる「ロマンポルノ・リブート・プロジェクト」の1作。
「リング」「クロユリ団地」などで人気を博す中田監督による「ホワイトリリー」では、「仮面ライダーW」の人気アイドル・園咲若菜役で知られる飛鳥と人気ドラマ「大奥」の山口香緒里が陶芸家の師弟に扮し、激しくも美しいラブシーンに挑戦したほか、嫉妬や羨望、執着といった内面の演技で作品に深みを与えている。「生贄夫人」などで知られる日活ロマンポルノの立役者・小沼勝監督の下で助監督として経験を積んだ中田監督によれば「レズビアン同士の関係を基軸にロマンポルノを描きたいと思ったのは、学生時代に映画ファンとして、あるいは日活時代(助監督時代)に人気ジャンルとしてあったから。女性同士のラブシーンのほうが、美しく撮ることができるんじゃないかという思いもありました」と今回のテーマを志した理由には、自身の原点ともいえる日活ロマンポルノへの畏敬の念が大きかったようだ。
助監督時代を振り返り「日活ロマンポルノでは、ホームグラウンドで試合をするような感覚でした。1週間や10日といった短い期間ですが仲間意識はより強くて、脚本の直しから、映画の完成まで通して仕事をさせてもらえたんです。自分が監督になっていく上ですごく肥やしになりましたね」と懐かしげに語る中田監督からは、本作が日活ロマンポルノへの感謝をこめた作品だということがひしひしと伝わってくる。そういった監督の思いに、主演女優の飛鳥も敏感に反応。「日活ロマンポルノは、時代の雰囲気がすごく素敵。服や話し方だったり、女性が生き生きしていました。本作からも時代を切り取った、今ならではの空気感が伝わってくる。見てる風景や雰囲気がどこか“懐かしい”。ぴったりすぎてそれ以外の言葉が見つからないですね」と、かつての日活ロマンポルノ作品と本作は同じ“遺伝子”を持っているとの見方を示した。
過去作への敬意と、新たな表現を模索する意志。本作には“温故知新”というキーワードが合致する。中田監督は「ロマンポルノが40年くらい経ってもこれほど若い女性たちをもひきつけるのは、かつてのロマンポルノや、我々がリブートしたものにおける“人間の性(さが)を普遍的に描こうとする意志”を感じてくれているんじゃないか。本作でも、飛鳥さん、山口さん、キャメラマンの近藤龍人さんといった、オンタイムでロマンポルノに接していなくとも“ロマンポルノ愛”がある人たちと組めば、新しい風が吹くと開き直っていました」と信頼をにじませる。
中田監督の意気込みを示すように、本作では女性たちの肢体が大胆に切り取られ、唇、手、足といったパーツごとのショットが印象的に挟み込まれている。中田監督は「唇や指先は営みに必要なパーツであり、女優さんのフィジカルを美しく撮るのはロマンポルノの生命線だと思います。リブートであってもそれは変わらない」ときっぱり。「これは僕がホラーで学んだことかもしれないけど、(カメラが)引いた後でズバッと寄るとメリハリがすごくきくため、見ている人の印象にすごく残る。先輩たちが撮ってきたものにもメリハリがすごくきいているものも多く、『寄るときはとことん寄って』と注文しましたね」と述懐。さらに「実は、ラブシーンでも近藤さんの指示で、プレパラートのようなものをカメラの前で動かしてハレーションが入るようにしています。2人の官能の度合いが増している風に感じていただければ」と明かした。
対する飛鳥は「ワンシーンごとに、監督が丁寧にこういうシーンでこういう感情で、と説明してくださった」と中田監督の演出力の高さを指摘。「ラストシーンなんて、監督の説明を聞くだけで涙が出てしまって。その高ぶった気持ちのまま大事なシーンの撮影にも臨めました。そうやって監督が引っ張ってくださったおかげで、ワンカットワンカット集中して感情も丁寧に表現できました」と笑顔を見せる。中田監督は飛鳥を「日常生活では想像しにくいことの連続を要求していたから、本当に難しかったと思う」とねぎらい、「思い余って、80分以内に収めないといけないのに百合(女性の同性愛)のシーンで9分も撮っちゃっいました(笑)」と新たなロマンポルノの体現者に圧倒されたエピソードを語った。
「ホワイトリリー」は、2月11日から東京・新宿武蔵野館ほか全国順次公開。
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