M・スコセッシ監督、「沈黙」で日本人の勇気に敬意「力の限りを尽くした」
2017年1月16日 18:13
[映画.com ニュース]米のマーティン・スコセッシ監督が、遠藤周作の小説を映画化した「沈黙 サイレンス」を引っ提げ来日し1月16日、都内のホテルで会見した。原作との出合いから28年。「とても長い時間をかけて、やっと完成にこぎつけることができ、日本の皆さんに受け入れてもらえる。夢がかなった思いだ」と万感の表情で語った。
日本で初めて小説を読み、すぐに映画化を熱望したが、「どう解釈して作るべきか、自分の答えが見つからなかった。宗教観への疑念や日本文化に対する理解もそこまで深くなかった」という。映画化権は持ち続け、途中で訴訟問題になることもあったが「企画はずっと進んでいて、付き合っていくことが壮大な学びの試行錯誤の旅。人生を生きていく中でも学びとなった」と振り返った。
転機となったのは2003年、「ギャング・オブ・ニューヨーク」を撮影していた頃。「私生活でも変化があり、再婚をして子供も生まれた。成熟した段階で父親になったから、可能性を広げてみようと、本気で挑戦しようと思った」と説明。「若い頃に作っていたら、全く別の作品になっていたと思う。でも、完成したからといってこれで終わりとは思っていない。今も心の中に掲げているし、これからもこの映画とともに生きていく」と、かけがえのない1作であることを強調した。
江戸時代の長崎で、キリスト教弾圧に苦しむ隠れキリシタンの苦悩と受難をポルトガル人宣教師が目の当たりにしていく壮大な人間ドラマ。スコセッシ監督は、「人間の弱さとさいぎ心をテーマに、それを否定するのではなく受け入れることを描いた映画。日本のキリシタンの勇気を描こうと、忠実に敬意を持って力の限りを尽くした。私も巡礼をしたような気持ちになっている」と自信のほどをうかがわせていた。
「沈黙 サイレンス」は、1月21日から全国で公開される。