大友啓史監督、4Kでよみがえった「雨月物語」に感動「まさに映画」
2016年10月30日 18:05

[映画.com ニュース] 溝口健二監督の代表作「雨月物語」の4Kデジタル復元版が10月30日、第29回東京国際映画祭の「日本映画クラシックス」部門でお披露目された。米マーティン・スコセッシ監督の財団とKADOKAWAが共同で残されていたポジフィルムを修復。スコセッシ監督は冒頭で、「私が初めて見た日本映画が『雨月物語』。ミゾグチのマスターピース(傑作)を楽しんでほしい」とビデオメッセージを寄せた。
復元を監修したキャメラマンの宮島正弘氏と、大友啓史監督がTOHOシネマズ六本木ヒルズでの上映後にトークショーを実施。1953年の公開当時、宮島氏は小学5年生だったが、後に同作の宮川一夫撮影監督に師事し、「33年、苦楽を共にしたから、本人は言わなかったけれど失敗したなあと思っていたところがすべて分かっちゃう。4Kだからこそできるものがあって、ちょっとだけ現代に合わせたところはあるけれど、宮川さんは『ありがとう。こうしたかったんや』って言うと思う」と手応え十分の様子だ。
これまではビデオで見ていたという大友監督は、「特に黒い部分のディテールがすごくて、俳優たちの芝居が見えるようになった。音もくぐもっていたのがはっきりとして、俳優1人1人の吐息まで伝わってきて、違ったものを見ているようだったけれど感動した」と感嘆の面持ち。「大映映画は、デフォルメや陰影のつけ方が格好いい。俳優の魅力を際立たせるためにやっている、映画の総合力という信頼に裏打ちされた、まさに映画」と称えた。
宮島氏はこれを受けて、「映画の原点なんです。今のカメラはボタン1つで映っちゃうけれど、映すものでなくてはいけない。大きなスクリーンに耐える画(え)を撮らないといけないし、照明、美術、録音など皆が緊張しながら神経を使って画面1つ1つを作っている。それが映画屋なんです」と自負。大友監督も、「いろんな日本映画が見やすい形になると、新しい発見をする機会も増える。若い人は僕よりもっと新鮮だろうし、こういう機会を生かして映像文化を盛り上げるきっかけにしたい」と感銘を受けていた。
第29回東京国際映画祭は、11月3日まで開催。
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