仏ラップグループ所属の監督、パリの貧困層の現実と葛藤を語る
2016年10月29日 21:00

[映画.com ニュース] 第29回東京国際映画祭コンペティション部門出品作「パリ、ピガール広場」が10月29日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズでインターナショナルプレミア上映され、メガホンをとった社会派ラップグループ「La Rumeur」のメンバーでもあるエクエ・ラビティ監督とモハメド・ブロクバ監督(通称アメ)、俳優のレダ・カティブ、プロデューサーのブノア・ダブーが会見した。
映画は、仏パリの猥雑な歓楽街・ピガール地区を舞台に、移民第2世代の男が底辺からはい上がろうとするさまを描く人間ドラマ。仮出所中のナス(カティブ)は、兄のバーを手伝うが身が入らす、兄との仲もこじれていく。やがて、投資家を名乗る男と出会い、自分が好きなナイトクラブ関連のビジネスを立ち上げようとするが、その計画が兄との関係をさらに悪化させる。
「La Rumeur」はピガールで誕生し、今年で結成20周年を迎えた人気ラップグループ。ラビティ監督は、「この兄弟を通じて描きたかったのは、今のパリで貧しい人々が生きていくことがいかに厳しいかという現実です」と話す。「合法でも違法でもとにかくお金を作って生きていかなければならないという現実がある。その現実によってどのような行動をとるかが決まってしまうということを描きたかったのです」と、貧困から抜け出せない人々のリアルな生活に焦点を当てた理由を語った。
劇中では人々が違法な方法で金銭を得るシーンが多く登場するが、ブロクバ監督はその行為を批判したり正当化したりする意図はないという。「それぞれが自分にできることをして何とか生きながらえる。それが良いことか悪いことかという判断を描くのではなく、それぞれの立場で、生きていくために戦わなければならないという葛藤を描いています。劇中の兄弟にもそれぞれにアンタゴニズムがあるのです」
2人の監督と長きにわたり友人であるというカティブは、「家族のような気持ちで、脚本の最終稿を読む前から出演を決めていました」とニッコリ。さらに、「“今のパリ”という視点で私たちの世代を見たかったし、(ピガールの)街を行き交う人たちを描くということで、ぜひこの作品に参加したいと思いました。監督たちは、メディアであまり取り上げられない人々をこの映画を通して見せたのです」と着眼点を絶賛していた。
第29回東京国際映画祭は、11月3日まで東京・六本木ヒルズほかで開催。
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