日本で研修医経験のあるインドネシア作家の病院コメディ「90%は本当の話」

2016年10月29日 21:00

I・イスファンシャー監督、原作者 F・ハムザ氏、脚本家C・シレガル(右から)
I・イスファンシャー監督、原作者 F・ハムザ氏、脚本家C・シレガル(右から)

[映画.com ニュース] インドネシア映画「CADO CADO(チャドチャド) 研修医のトホホ日記」が10月29日、東京・六本木で開催中の第29回東京国際映画祭「CROSSCUT ASIA #3 カラフル!インドネシア」部門で上映され、イファ・イスファンシャー監督、原作者のフェルディリファ・ハムザ氏、脚本家のハディジャー・シレガルがティーチインに出席した。

病院を舞台に、研修医の青年の奮闘と恋の行方を描いたコメディドラマ。高校時代から思いを寄せているエフィと同じ学校に通いたいという理由で医大に進学した主人公リファだが、病院経営者の娘である美しい女性フェナと出会い心が揺れ始める。

原作者のハムザ氏は2012~13年の1年間、日本大学病院で眼科医の研修を受けていたという。原作小説は08年に執筆したものなので、日本での体験は反映されていないそうだが、フィクションの度合いついて「90%は本当の話」と明言。観客の「主人公の父親がマフィアみたいだった」という感想に対しても、「僕の父親もマフィアのような外見ですが、もっと太っているんです(笑)」と明かし、「母親もテレビでエアロビクスをしていて、僕が病院から疲れて帰宅したときの感じが映画で描かれていてうれしかった」と笑顔を見せた。

一方、出身地のジョグジャカルタで映画学校を運営するなど後進の育成にも注力するイスファンシャー監督は、妻のカミラ・アンディニ(「鏡は嘘をつかない」「ディアナを見つめて」)と、その父親ガリン・ヌグロホ(「枕の上の葉」)もインドネシアを代表する映画監督。「毎晩の夕食の席で映画とは何かといった話をするわけではありませんが、新作の進捗などを報告し合ったり、ラフカットを見せ合ったりしています。私にとって2人は最初の観客なんです」と家族の日常を説明。「3人で一緒に仕事をしたことはまだないのですが、映画界における同じ宗教を持っていると思います」と真摯に語った。

本作は韓国のCJエンタテインメントの出資を受けており、インドネシアと韓国の初共同製作作品となった。脚本家のシレガルは、「前政府の時には、“ネガティブリスト”と呼ばれるリストに指定されていたため、出資を受けられなかったのですが、政権交代でネガティブリストから外れた」と経緯を解説。イスファンシャー監督は、「今後もCJエンタテインメントとの共同作品が数本予定されていると聞いています」と、東南アジア映画界に進出する韓国の大手の影響力の大きさを説明した。

第29回東京国際映画祭は11月3日まで開催。

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