M・スコセッシ、「沈黙」に込めた28年の思いを激白「語っても語り尽せない」
2016年10月19日 18:30
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[映画.com ニュース] 米国のマーティン・スコセッシ監督が、遠藤周作の小説を映画化する最新作「沈黙 サイレンス」の一端がベールを脱いだ。10月19日、同作のフッテージ映像が都内で世界初上映され、スコセッシ監督と出演の窪塚洋介、浅野忠信が会見した。
フッテージは4シーンで約15分。現在はポストプロダクション中で完成版ではないが、窪塚扮するキチジローがアンドリュー・ガーフィールド演じる宣教師に告解するシーンや、浅野演じる通辞が宣教師を説得するシーンのほか、イッセー尾形、塚本晋也ら日本人キャストが出演する場面が集められ、その深遠な映像美に上映後は取材陣から温かい拍手が沸き起こった。
スコセッシ監督が、原作小説と出合ったのは1988年。カトリックであることから、それ以降、映画化を切望し続け、権利問題など幾多の障壁を乗り越えて実現にこぎつけただけに、「遠藤周作を愛読し、14歳で溝口(健二)の『雨月物語』を見てから日本文化に多大な影響を受けた私にとって『沈黙』を作ることは大きなモチベーションのひとつだった」と感慨深げに話した。
「私の心をつかんでやまなかった大きなテーマは異文化の衝突だった」とも説明。「本が表現していることをいかに映像で伝えるか、アプローチが分からなくなることもあったが、長い年月をかけて考えた。家族のようなキャストを集めることができたし、語っても語り尽せないくらいの思いがある」と、窪塚と浅野に感謝しつつ話した。
オーディションで役を射止めた窪塚と浅野も、満足げな表情。特に窪塚は、初の米国映画出演となっただけに「決まったと聞いた時はドッキリなんじゃないかと思ったけれど、今ここに来てようやく現実かもと感じるようになった」と感激の面持ち。スコセッシ監督については、「クランクインの日にきれいなスーツを着ていて、薄汚れた現場だったけれど(床に寝転び)こういう感じで演出してくれた。スーツが汚れちゃうと思ったけれど、そんなの関係ないんだという情熱の氷山の一角を見せてもらった。メラメラな人なんだと思った」と最敬礼だ。
一方の浅野に対しては、スコセッシ監督が「モンゴル」「アカルイミライ」「殺し屋1」などの出演作を見ており「彼の大ファンだった。大変な撮影が待ち構えているが、この2人ならという確信があった」と窪塚も含め絶賛。浅野は照れながらも、「オーディションの時から、互いに心で感じる瞬間があって楽しかった。俳優からあふれる何かを常に期待してくれている気がして、その思いを共有できた撮影だった。僕にとってチャンスであり、大きなチャレンジだった」と世界的名匠に最敬礼だった。
「沈黙 サイレンス」は、江戸時時代初期、キリシタンの弾圧に苦しむ民衆を、流れ着いたポルトガル人宣教師の視点で描き「人を信じる」ことの意味を説く人間ドラマ。今年は遠藤周作の没後20年、小説が発表されてから50年に当たる。来年1月21日、全国で公開される。
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