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笑いと真摯に向き合った中井貴一×長澤まさみ×志田未来がつかんだ確かな手応え

2016年10月12日 08:00

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インタビューに応じた(左から) 志田未来、中井貴一、長澤まさみ
インタビューに応じた(左から) 志田未来、中井貴一、長澤まさみ

[映画.com ニュース] 日本映画におけるコメディの土壌は、まだまだ肥よくとは言い難い。その端緒を切り開く役割を担ったのが「グッドモーニングショー」の中井貴一長澤まさみ志田未来といえる。ワイドショーのメイン、サブキャスターとしてスタジオ、事件現場で奮闘し、セリフの掛け合いの妙味、思惑のズレなどから生じる笑いの連鎖を生み出した。笑わせる演技の難しさを知るからこそ、どのような思いで挑んだのか。

朝の情報番組「グッドモーニングショー」のキャスター・澄田真吾は、かつて報道畑のエースだったが、災害現場でのトラブルで世間の批判を浴び降板。ワイドショーに拾われた苦い経験を持つ。君塚良一監督が中井を当て書きしたと聞けば、演じる側も本望だろう。

「そりゃあ、うれしいですよ。何があってもやろうと思います。役者っていうのは役の大小を問わず、この役はどうしてもあなたにやってもらいたいと言われるのが何よりも幸せなこと。即決でしたね」

いつもと変わらぬ形で生放送がスタートしたが、都内で銃と爆弾を持った男による立てこもり事件が発生。しかも、犯人の要求は澄田その人。交渉役として現場に駆り出されるハメになる。番組は一気に事件現場との同時中継となりリアルタイムサスペンスの装いをまとうが、ベースはコメディだ。君塚監督はもともと萩本欽一に師事しただけに、いわば原点回帰といえる。

長澤「皆、何かしらしでかすけれど、とても誠実でいい人ばかり。それぞれが自分の気持ちに素直というか、自分を信じているなって思います」
 志田「ウソがないって思います。無理に笑わせようとしていないし、まじめにやっているからこそ、くすっと笑ってしまう。だから頑張って演じているというよりは、自然にその場で生きている感じでした」
 中井「リアリティとファンタジーの融合がうまいんでしょうね。ベースとしてはリアリティがあるけれど、演じて出てくるものはファンタジー。そこが君塚さんの本の素晴らしいところだと思いますね」

立てこもり事件とスタジオ、2つの現場で生み出された笑いのパーツが収れんし、心温まる余韻を残す。笑いと真摯に向き合ったからこそ、中井はその大切さを説き、長澤と志田も同意する。

中井「役者として一番難しいのはコメディなんです。評価はされないかもしれないけれど、見る人にとっては大切な分野だと思う。嫌なことがあってもちょっと忘れられる、笑ったことで元気になる、そういう意味であえて難しいことをやり続けていくことに意義があるとずっと思っているんです。その挑戦は手を休めないで進めていきたいし、この作品が多くの方に見ていただけて面白かったと言ってもらえれば、日本全体がいい方向に向かっているということなんじゃないかと思うんです」
 長澤「昔は見る側として、コメディを受け入れられるタイプじゃなかったんです。それが大人になっていくにつれて価値観が変わって、お笑いブームもあったりして受け入れる幅が広がったというのは感じています」
 志田「感動させようと思って、例えば泣くお芝居なら感情をどんどん上げていけばいいれど、笑いのツボは人それぞれ違う。でも、笑いを意識しすぎるとコントみたいになってしまいます。分野としては、一番難しいんじゃないかと感じました」

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