藤竜也&リリー・フランキーと“家族”になり大きな糧を得た上野樹里
2016年10月9日 12:00

[映画.com ニュース] 上野樹里が、タナダユキ監督の「お父さんと伊藤さん」で3年ぶりの映画主演。恋人のリリー・フランキー、父親の藤竜也と“生活”を共にし、言葉を重ねていくことで家族としての在り方と向き合い、それぞれが前を向いて生きていく糧を見いだした。切なさの中にもユーモアがあり、温かさで包まれるアンサンブル。3人の穏やかな表情からは、かなりの手応えが感じられた。
「ちょうど家族ものがやりたいと思っていた時に、こういうヒロインの役がきたので興味深かったです。セリフのやり取りが面白いので、セリフをちゃんと言って素直に反応していれば面白いものになるという感じ。キラキラしていなければいけない主人公ではないので、本番に向けてのプレッシャーや張り詰めるようなストレスはなかったですね」
こう振り返る上野の役どころは、書店のアルバイト店員の彩。以前のバイト先で一緒だった20歳年上の伊藤さんと、なんとなく付き合うようになり同居を始める。中澤日菜子さんの原作小説には男女の機微が盛り込まれているが、映画化に当たってはあまり踏み込んでいない。その関係性が奏功したと語るのが、伊藤さん役のリリーだ。
「実際の僕とそう遠くない役なので何を用意するということもなかったんですけれど、伊藤さんの性的な部分が抜けているのが良かったなと映画を見て思いました。素性が知れないだけで十分です。そこに伊藤さんの裏の部分はもういらないかなって(笑)」
つましい生活を送っている2人の家に転がり込んでくるのが、藤演じる彩のお父さん。小学校の教員を長く勤めた、見るからに厳格で頑固な昭和の親父。北野武監督の「龍三と七人の子分たち」の引退したやくざの組長からの役の振り幅にひかれたそうで、最初の赴任地に設定された東京・狛江や生家とされた長野のロケ地を訪ね歩き、キャラクターのバックボーンを綿密に組み立てていったという。
「僕は役によりますけれど、いろんな裏を取らないと体が動かないんですよ。それを取るのは面白いんです。本当に楽しいから、もう趣味ですね。今回は、故郷にすごくこだわったのね。あのおじいさんが高校まで見た風景やいろんなことが、老いてきたことですごく蘇るんだろうなと思いながら見ていました。財布の中身がどうなっているのかも計算したからね」
気負うことなく現場に入った上野だが、多くを語らず役者にゆだねるタナダ監督の演出に不安が募ったことも。それは連日、監督から送られてくるLINEのメッセージが支えになったという。
「毎日帰ったら、『今日はどこが良かった』って来るから大丈夫なのかって思うようにしていました。今の(自分の)まま演じさせてもらえるのはすごく豊かなことなので、楽しんで役を遊ぶというか、中からわき出るものに従って動いていれば監督も楽しそうに波に乗れる。あまり疑ったり後ろばかり振り返っていないで前を見ようって」
17歳でデビューした上野も今年30歳を迎え、5月に結婚。お父さんと伊藤さんに背中を押された彩のように、上野も藤とリリーと“家族”になったことで大きな糧を得たようだ。
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