黒沢清監督&写真家・新井卓、映画と最古の写真技術・ダゲレオタイプの共通項を熱弁
2016年10月4日 19:30

[映画.com ニュース] フランスを舞台にした「ダゲレオタイプの女」で海外初進出を飾った黒沢清監督が10月3日、作品の題材になった世界最古の写真技術“ダゲレオタイプ”を独自に習得して活動を展開する写真家・新井卓氏とともに、都内でのトークイベントに臨んだ。
オール外国人キャスト、全編フランス語で製作された本作は、ダゲレオタイプの写真家ステファン(オリビエ・グルメ)と娘でモデルのマリー(コンスタンス・ルソー)、ステファンのアシスタント・ジャン(タハール・ラヒム)の3人を中心に、黒沢監督らしいホラー要素を盛り込んだ幻想的な愛の物語。“被写体の魂を閉じ込める”といわれるダゲレオタイプの魔力にからめとられていく男女の運命が、叙情的な映像と共に描き出される。
9月16日に行われたイベントで黒沢監督を撮影した新井氏は、ファンであることを明かしながら「この“ダゲレオタイプ”という言葉が黒沢監督の映画のタイトルにつく日が来るなんて思っていなかったので、まずはそこに驚きました」と感動の面持ち。「映画は、まずとにかく『怖っ!』と思いましたね(笑)。ヒロインの目の動きがなんだか怖いんです。登場人物たちの動きに目を引かれていたら、いつの間にか魔法にかかっていましたね。体の動きや、人物の話し方が独特」と語った。
約20年前にダゲレオタイプと出合ったという黒沢監督は、「恵比寿の写真展に行った際に見た、ダゲレオタイプで撮られた少女の苦痛とも快楽ともいえない表情を見て、非常に心ひかれました。これを映画にできないかと思ったんです」と出発点を振り返る。さらに、「映画も何時間もかけて1カットを撮って、『何かすごいものが映ったに違いない』という一種の“幻想”の中で、僕たちはいまだに仕事をしています。スマホで簡単に写真や動画を撮っている人々からしたら、映画というのはダゲレオタイプの世界なんですよね。映画はいつ消えてもおかしくないメディアなんですが、まだギリギリ存在していて。それは見に来てくれるお客さんも『特別な何かが映っている』と信じてくれているからなのです」と映画にかける情熱をあらわにした。
新井氏は「ダゲレオタイプは現代のカメラから見たら到底カメラといえる代物ではないですよね。複製できないし、撮影時間も長い。失敗も多いんです。現像に水銀を使うんですが、中毒性があるんですよね。“マッドハッター”と呼ばれる昔の帽子屋たちは製造過程で水銀を使っていたらしく、本当に気が狂っていたともいわれています。もちろんダゲレオタイプも水銀で現像するので、危険も伴います」と苦労を語る。それだけに「劇中、等身大の水銀現像機が現れたときには、驚きで奇声を発してしまいました」と語った。対する黒沢監督は「水銀中毒という設定はいいですね……」と作家魂に火がついた様子を見せていた。
「ダゲレオタイプの女」は、10月15日から全国公開。
Amazonで関連商品を見る
関連ニュース






映画.com注目特集をチェック

入国審査
【これめっちゃ面白かった】この2人、空港の入国審査で何時間も尋問される…一体なぜ? 衝撃の結末へ
提供:松竹

またピクサーが大傑作つくったんですか…
【大人がボロボロ泣く感動超大作】両親を失った主人公の再生。そのままの君が好きだよ。
提供:ディズニー

映画界を変える“究極の推し活”がある。
【革命的すぎてヤバい】大好きな俳優と映画を、まさかの方法でとことん応援できる!!
提供:フィリップ証券

ジュラシック・ワールド 復活の大地
【超絶パワーアップ】マジ最高だった!! 究極のスリル、圧倒的な感動、限界突破の興奮!!!
提供:東宝東和

何だこのむちゃくちゃ“刺さる”映画は!?
【尋常でなく期待してる】“命より大事な誰か”のためなら、自分の限界を超えられる。
提供:ディズニー