東アジアの映画の未来は…日中韓の映画人が奈良でディスカッション
2016年9月19日 12:00

[映画.com ニュース] 日中韓による文化交流の国家プロジェクト「東アジア文化都市2016 奈良市」と、河瀬直美監督がエグゼクティブディレクターを務める「第4回なら国際映画祭2016」によるシンポジウム「アジアから世界へ」が9月18日、奈良市ならまちセンターで行われ、河瀬監督、別所哲也、香港国際映画祭キュレーターのジェイコブ・ウォン氏、韓国の映画プロデューサー、オ・ジュンワン氏が登壇した。
各国の第一線で活躍する映画人が集まり、河瀬監督は「映画作りの背景の違いを浮き彫りにしながら共存することを着地点にしたい」と進行役として、日中韓の映画製作の現状をゲストに尋ねた。
河瀬監督が1997年のカンヌ映画祭で日本人初のカメラ・ドール(新人監督賞)を受賞した「萌の朱雀」を見出し、香港で紹介したウォン氏。ここ10年ほどで各国の映画祭の状況が変化しているそうで「映画祭や作品の数が増えてきており、見られない作品もあり、作品の質が厳しくなっている」という。若手の作家への支援制度については「欧米は手厚く、香港や韓国は日本よりは良い状況。中国は(映画製作が)プロパガンダとしても使われているので難しい」と話す。
オ氏はウォン氏の発言を受け、「韓国は若い作家への支援が手厚いと言われます。ニューウェーブが出てきた80年代にKOFIC(韓国映画振興委員会)ができ、支援を始めた時の記憶を皆さん持ってらっしゃると思うのですが、政権が変わるたびに支援は少しずつ減っており、今はほぼないと言えます。日本と同じ状況になっていくのでは」と明かす。その一方で、国産のブロックバスター映画に投資が集中していると話した。
日本発の国際短編映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル」を主催する別所は、今年初開催から18年を迎え、世界から6000本近くのエントリーがあったと報告。誰でも映像が撮れる時代になったからこその短編映画の役割について語り「いろんな映像が氾濫する時代に、映画で何を表現して、何を分かち合うかが問われていると思う」と、持論を述べ、子供や学生たちに映像作品を見る力を養うために、行政の協力が不可欠だと訴えた。
河瀬監督は、近年のカンヌのコンペティション部門で、アジアの作品がノミネートされるのは5本未満であることを挙げ「アジアには底力がある。現実を嘆くだけでなく、手をつないで形になるものを作っていきたい」と意欲を見せていた。
「第4回なら国際映画祭2016」は、9月22日まで奈良市ならまちセンター、春日野園地、奈良県文化会館、ホテルサンルート奈良ほかで開催。
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