尾崎英二郎、ハリウッド作品「リトル・ボーイ」で燃え盛った“夢を現実にする炎”
2016年8月27日 06:00
[映画.com ニュース] 映画「硫黄島からの手紙」やドラマ「HEROES ヒーローズ」などで存在感を示し、米ハリウッドで活躍する俳優・尾崎英二郎の出演最新作「リトル・ボーイ 小さなボクと戦争」が、8月27日から公開される。尾崎は日本人の勇士マサオ・クメに扮し、主人公の人生を変える重要な役割を担った。2011年の始動から約5年、ついに今作が日本公開を迎えるにあたり、 峻烈な思いを秘めた胸中を語った。
物語の舞台は、第二次世界大戦下のアメリカの小さな漁村。小柄で“リトル・ボーイ”と揶揄される少年ペッパー(ジェイコブ・サルバーティ)が、戦地に出兵した父親を帰還させるため、完遂すれば願いがかなうというリストをこなしていく。日本とアメリカの戦争が物語を駆動させるが、本質は虚弱な少年が揺らぐことのない意志を貫き、町の空気感を変化させていくヒューマンドラマにある。
尾崎がオーディションに臨んだのは、11年5月下旬。日本人将校の役で呼ばれた1次審査を難なく通過したが、ここで思いもよらない出来事が起こる。2次審査は、まったく別の役どころに変更されていた。「しかも設定は15歳。そんな役に40代の俳優は呼ばれないし、1次と2次で役がまったく違うことも、過去に経験したことがなかったです」。
それでも、2次審査の2日前に送られてきたシーン台本を読んだ尾崎は、「ここで語られる内容は、自分が普段思っていることそのままだ」と強烈なシンパシーを感じた。マサオ・クメは、小柄だが「意志の力に勝るものはない」と悟り、強大な敵に立ち向かう逸話を持つ役どころ。ほぼ無名の状態で単身渡米し、約9年間“思いを現実にする”ことに命をかけてきた尾崎は、マサオ・クメと自身を重ね合わせた。2日間、4ページの台本の内容を数100回と繰り返し、練習し全身に叩き込んだ。
幸運が重なったことは事実だが、尾崎が「絶対につかみとる」という意志のもと準備しなければ、出演は実現しなかっただろう。「オーディションではたった3分が人生を左右します」と述べ、「あそこで『僕に3分をくれ』と言っていなければ、この場はなかった。オーディションの1~3分、その瞬間に全てを込められる人でないと、未来がない。今日この未来を生んだのは、3分間のために僕が費やした準備だったんです」と言葉に力を込めた。
そうして勝ち取った今作を、尾崎は「奇跡的な巡り合わせが、今まで3度ありました。1度目は『硫黄島からの手紙』、2度目は『HEROES』、3度目はこの作品です」と表現し、「代表作の1本に加わった」と胸を張る。「今作で『マサオ・クメ役の日本人は、硫黄島からの手紙やHEROESの彼か』と結びつく、やっとそういう段階でしょう。観客が僕の演技をリアルタイムで劇場で見て下さるのは、今回が初めてだと思います。そういう意味でも代表作です」。
アメリカのタレントエージェントは営業活動をしないため、俳優は自分の力で役を勝ち取らなければならない。「セリフ1行の役から全部オーディション勝負。毎週、毎月、就職面接を受けているようなものです」と吐露しながらも、「1シーンの役でも、倍率は数10倍なんです。日本で放送された時『あっという間に死んじゃったじゃん!』という反応は確かにありますが、それを勝ち取るのは数10倍なんです」と拳を握った。
プレッシャーにさらされ続けながらも、スティーブン・スピルバーグ制作総指揮のドラマ「EXTANT(エクスタント)」や、「エージェント・オブ・シールド」など話題作に出演した尾崎。たゆまぬ努力を続け、成果を上げる原動力は、どこにあるのだろうか。
「自分には力がないと限界ラインを引いてしまう、そういう人たちの『僕、私にもできる』というサンプルになりたいんです。大尊敬する謙さんや真田さんら、スターである先輩方と、僕は同じことはできない。僕ができることは、名やバックアップがない人でも、世界市場でやれるという“夢”を見せること。僕がやめてしまうと、今までの全てが嘘になります。そのことが僕の原動力で、燃えている炎です。大きくなるときもあれば、種火くらいになってしまうことはありますが、この炎だけは絶やしません」
ハリウッドでの挑戦は、この秋で10年目に突入する。尾崎の“夢を現実にする炎”は、消えることはない。
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