ウニー・ルコント監督、6年ぶり新作で描いたのは「アイデンティティとは何か」
2016年7月29日 08:00
[映画.com ニュース]韓国から9歳で養子としてフランスへ渡った実体験を映画化した「冬の小鳥」のウニー・ルコント監督の長編監督第2作「めぐりあう日」が公開する。6年ぶりとなる今作では、舞台や登場人物をフランスに設定し、母と娘の運命的な再会を繊細に描いた。来日したルコント監督に話を聞いた。
実の親を知らずに育ってきた理学療法士のエリザは、自身の出生を知るため、息子を連れて北フランスの港町ダンケルクからパリにやってくる。ある日、息子が通う学校で働く中年女性のアネットが、患者としてエリザの療法室を訪れてくる。治療を通じて、2人は次第に不思議な親密感を覚えるようになる。主演はセリーヌ・サレット、撮影はカロリーヌ・シャンプティエ。
舞台をフランス、そして登場人物もフランス人に設定した。「今回の映画では、アイデンティティとは何かということを描いています。フランス以外では描けなかった物語」と断言する。
「フランス国籍とは、フランス人とはという議論を活発に行いました。移民であっても、何世代にわたって住んでいなければフランス人ではない、同じ移民系であっても、イタリア、スペインはフランス人だが、アラブ系はフランス人でないなど、そういったアイデンティティの議論がいたるところであり、それはフランス以外のヨーロッパでも続いています。私も韓国生まれですが、フランス国籍ですし、アイデンティティの多様性について描くには、フランスしか考えられなかったのです」
主人公のエリザは職業を持ち、夫と別居しながら一人息子を育てている自立した女性として描かれる。産みの母親の手がかりが見つからない中、2人目の子供を妊娠していることを知る。「私自身は子供を持っていませんが、さまざまな母親の姿を描いた」とその狙いを明かす。
「昔は妊娠は生物的な事実として受け入れなければなりませんでしたが、今はいろんな選択肢がある。持つ持たない、作る作らない、個人の人生設計の中で自由に選択できるべきだと思います。ただ、子供を持つということは新しい生命を誕生させるだけではなく、複雑なことが関わってきます。自分が子供時代に自分の親とどういう関係性が築けたのか、そういうことが子供の代にも反映される、自分自身がどういう子供だったかということも関係してくるので、単純なことではないと思います」と、自身の考えを述べた。
「めぐりあう日」は7月30日から岩波ホール他にて全国順次公開。
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