「ミモザの島に消えた母」名優ローラン・ラフィットが語る仏映画の魅力
2016年7月22日 06:00

[映画.com ニュース] 「サラの鍵」の原作者タチアナ・ド・ロネの小説をサスペンスタッチで映画化した「ミモザの島に消えた母」が、7月23日から公開される。主演はコメディ・フランセーズに所属し、第69回カンヌ映画祭のセレモニーの司会も務めた、名優ローラン・ラフィット。このほど初来日したラフィットが本作の撮影やフランス映画の魅力を語った。
「ミモザの島」と呼ばれるフランス大西洋にある島の海で、30年前に若い女性が謎の死を遂げた。女性の息子であるアントワンが家族に母の死についてたずねると、誰もが頑なに口を閉ざし、母の死について語ろうとしなかった。母の死の真相を突き止めるため、アントワンはミモザの島を訪れるが、彼はそこで自分が知らなかった母のもう一つの顔を知ることとなる。アントワンの妹役をメラニー・ロランが演じる。
10年ほど前にフランソワ・ファブラ監督のデビュー作に出演したことが縁で意気投合し、ファブラ監督がラフィットのために本作の脚本を執筆した。「小説的な要素を含み、とても深みのある物語であると同時に、探偵小説のような面もあり、アングロサクソン的な効率性と普遍的な家族の話が、入り交ざったような物語です。登場人物もそれぞれがそれぞれの道を歩んで、前進して真実に立ち向かい、映画の最初と最後ではまったく違う人間になっているというすばらしい脚本でした」とオファーを即決した理由を明かす。役作りでとりわけ気を配ったのは「感情の幅のさじ加減」。「ある時にコントロールが利かなくなることを受け入れるような役。そういった感情の変化に気をつけました」。

フランスの演劇、映画界の第一線で活躍するラフィットにとって、出演作を選ぶ基準は「まず、観客として見たい物語かどうかを考える」といい、「次に俳優として既に演じたことがあるような役ではないかどうか検討します。そして脚本を読んで、自分が思い描く役と、監督が考える役にずれがないかを基準にしています」と明確だ。
フランス映画が持つ特徴や魅力を問うと「心理的な描写」だそう。「登場人物の心理を話しすぎる場合もあれば、そうでない場合もある。あとは、登場人物が非常に複雑であるということ。鑑賞する際に頭を使う作品が多く、それは独特なものだと思っています。私自身も特にフランス的な作品を好んで見ます。とりわけ好きなのが、1970年代の作品でクロード・ソーテ、ルイ・マル、あとはアルノー・デプレシャン。結末が予想できるようなハリウッド映画に近いものはあまり好きではありませんね」
さらに、日本映画とも比較し「フランス映画と日本映画との違いは対話の多さです。日本の映画は会話が少なく、とても純化されているような印象を受けます。フランス映画も日本映画に倣って、言葉を減らしたり精査することも必要だと思います」と持論を述べた。
「ミモザの島に消えた母」は、7月23日から東京・ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国で公開。
(C)2015 LES FILMS DU KIOSQUE FRANCE 2 CINEMA TF1 DROITS AUDIOVISUELS UGC IMAGES
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