トルコの5姉妹の美しき反逆描く「裸足の季節」デニズ・ガムゼ・エルギュベン監督、キャストに聞く
2016年6月12日 11:30

[映画.com ニュース] トルコの保守的な慣習に抵抗する美しい5姉妹を描いた「裸足の季節」(公開中)。2015年のカンヌ映画祭で話題を集め、アカデミー賞フランス代表・外国語映画賞にノミネート。ゴールデングローブ賞外国語映画賞ノミネートのほか、これまで各国映画賞で38の賞を受賞している。来日したデニズ・ガムゼ・エルギュベン監督、女優のギュネシ・シェンソイ、エリット・イシジャン、ドア・ドゥウシルが映画.comの取材に応じた。
映画は、封建的な思想に包まれた小さな村で、10年前に両親を亡くし、今は祖母の家で叔父とともに暮らす5人姉妹が、次々と決められた結婚相手に嫁がされる。姉たちの不遇に憤る13歳の末っ子ラーレが、自由を取り戻すべく秘密の脱出を企てる物語。
「現代のトルコにおいて、女性であるとはどういうことなのか」という問い、自身が経験した怒りを作品に投影したというエルギュベン監督は「小さなころから物語を書くことが好きでした。想像力のたくましい少女だったので、自分で作った物語を芝居仕立てにして楽しんでいましたね。そして、自分の描いた物語を表現するのに一番合った媒体が映画でした。これまでの自分の経験や視点を反映し、いろんな人に共感してもらうことができるとわかり、20歳の時に映画監督になることを決めました」と映画の道に進んだきっかけを明かす。
フランスで映画を学んでいた時、映画業界の中でも女性はマイノリティだと感じたそう。「世界的に見ても、女性映画監督は少ないと思います。カンヌでパルムドールを受賞した女性監督は1人だけです。私が映画学校に入ってわかったのは、映画のチームにヒエラルキーがあるということ。監督が頂点で、スクリプトガールと呼ばれるアシスタントがいる。その役割はほとんど女性です。男が指導者で、女性がその補佐をするというのが現実です。女性が野心を持っていても、周囲がそうみなさないということがあり、女性が映画を撮ろうとすると、男性が同じことをするよりも大事かのように受け取られることもあります」

巧みな物語の構成と、自然光を多用し少女たちのみずみずしさを捉えた美しい映像で世界の映画賞を席巻。五姉妹を演じた女優は、三女役のエリット・イシジャン以外、演技経験のない少女たちを起用した。少女たちの自然なたたずまいを表現するために、即興で撮りあげた場面もある。「冒頭の海のシーンの少女たちのセリフは、子どものような無邪気なものでなければならなかったので、男女の性的なやりとりはするなというようないくつかの指示以外は、彼女たちに任せました。リーダーが道を変えれば、そのほかもそこに追随するようなやり方です。それはギリシア演劇の手法でもあります。ピーター・ブルックの話でもありますが、グループで芝居をする時、ひとりは団長になり、他はそれに従うことが自然だと。そういう形をとりました」
若き女優陣は、今作の出演がこれからの人生を変えるほどの大きな経験になったと口をそろえ、撮影をこう振り返る。「自分の中であまり演技をしている意識はありませんでした。普通に遊んで、みんなで一緒に時間を過ごしている中で、後ろからカメラが私たちを捉える感じでした。本当に日常生活の一部のようだったんです。私の役は本来の自分とは違った、野性的なところがある女の子だったので、怒鳴ったりだとか、そういう部分を監督から要求されました」(末っ子ラーレ役ギュネシ・シェンソイ)、「演技に関する教育を受けずに、演じるということ、それは一種の才能ではないかと思います」(四女ヌル役のドア・ドゥウシル)
もし次の人生があるとしたら、また女性に生まれたい? それとも男性? とエルギュベン監督に問うと、「絶対に女ですね」ときっぱり。「少女時代から、体の変化を経験したり、おしゃれを楽しんだり……女性の成長の過程が好きです。あとは母性です。私は母になったことがとてもうれしいし、子どもを育てることは素晴らしいこと。母になるチャンスは今後も絶対に逃したくありません」とほほ笑んだ。
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