結婚こそが正義?昨年度オスカーノミネート「裸足の季節」、美人姉妹の受難を映す本編映像
2016年5月25日 12:00
[映画.com ニュース]第88回アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされたほか、第68回カンヌ国際映画祭ヨーロッパ・シネマ・レーベル賞など38の賞に輝いた「裸足の季節」の本編映像が、公開された。
首都から遠く離れたトルコの小村を舞台に、封建的な大人たちに支配され、次々に見知らぬ男の元に嫁がされていく5人姉妹の苦難に満ちた青春を、繊細かつ丹念に描く。本作で長編監督デビューを果たしたデニズ・ガムゼ・エルギュベン監督は、米バラエティの「2016年に注目すべき映画監督10人」にも選出された。
映像では、保護者である叔父に貞操を疑われ、病院で“処女検査”をされた姉妹が、さらに家に鍵をかけられ、「不埒(ふらち)なもの」として衣服や化粧品、携帯電話、パソコンに至るまでを没収されるさまが描かれる。姉妹は反発するが、祖母も「少しでも疑わしいと結婚できないわ」と聞く耳を持たない。姉妹の仲むつまじい様子や自然光を使った柔らかな映像と、姉妹が置かれた過酷な環境のコントラストが印象的な内容になっている。なお、三女役のエリット・イシジャンを除く4人は、本作で女優デビュー。演技初体験とは思えない自然なたたずまいが、作品に新鮮さを与えている。
エルギュベン監督は「本作の根底には、トルコでの現実を踏まえて“トルコで女の子であることはどういうことか”という問題提起がありますが、私はドキュメンタリーを撮りたかったわけではありません。ファンタジーとしての表現もあります。私が好きで影響を受けている作品に『ソドムの市(1975)』がありますが、それと同様に内容とスタイルが断絶しているようなものを目指しました」と意図を語っている。
「裸足の季節」は、6月11日から全国公開。