樹木希林、200本のカーネーションに「こんな金あるなら」とボヤキ節もニッコリ
2016年5月8日 17:10
[映画.com ニュース] 是枝裕和監督の最新作「海よりもまだ深く」の試写会が“母の日”の5月8日、都内で開催された。この日は是枝監督をはじめ、阿部寛、樹木希林、音楽を担当したソロユニット「ハナレグミ」の永積タカシが舞台挨拶に登壇した。
カンヌ映画祭「ある視点」部門への出品も決まっている本作。作家としての芽が出ず探偵をして暮らすダメな中年男・良多と元妻、息子が、良多の母が暮らす団地に思いがけず集い、台風が通り過ぎるひと晩を過ごすことになる。阿部にとっては、是枝作品「歩いても 歩いても」以来2度目となる樹木との親子役。「前回は父親が生きていて原田芳雄さんが演じていたんですが、今回は狭い団地で、至近距離でガッチリと樹木さんと共演し、いつまでも息子がかわいい母に温かい気持ちになりました。この距離感が嬉しかった」と明かした。
ところが樹木は、「私は圧迫感がありました」と吐露。「ただでさえ空気がないところに、こんなに大きな似ても似つかない息子が来て、団地の小さな風呂にギューッと入って。ローマ風呂に入っていたのに、かわいそうに」と語り、会場の笑いを誘った。
是枝監督が9歳から28歳まで過ごした東京都清瀬市の団地で撮影されたが、「僕が母と歩いた遊歩道を希林さんが息子の背中に手を置いて歩くのを見て、タイムマシンで自分の人生に立ち会っているような気持ちになった。自伝ではないけど、特別な映画です」と感慨深げ。生前、母親に母の日のプレゼントを贈ったことなどなかったというが、「映画の中で母を演じた希林さんとこの場に立って、母と暮らしていた団地で撮った映画が上映される。罪滅ぼしみたいなものになっているのかな」と漏らした。
音楽を担当した永積は「(監督に)いろいろ質問したんですが、ニコニコしていて何も答えてくれない(苦笑)。『いい感じでイケるでしょう?』といなされていました」と振り返るが、是枝監督は「イメージを決めつけて書いてほしくなかった」と意図を説明。スタジオを訪れ、歌詞がついていない状態の主題歌「深呼吸」を聞き、「みんな感動したし、この曲で終わるかと思うと嬉しかった」と語った。
この日は、男性陣3人から樹木に200本のカーネーションの花束が贈られた。樹木は「こんな金があるなら、もっとどうにかならないの?」と言いながらも、「でもありがとう」とニッコリ。そして、阿部とともに降壇し、花を観客にお裾分けして喝さいを浴びていた。「海よりもまだ深く」は、5月21日から公開。
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